ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

ローカル魚でとれたてごはん…浜大津 『湖の駅おいしや』の、びわこ湖魚御膳

2014年08月30日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん
大津港から出航する外輪船ミシガン号は、琵琶湖を周遊する遊覧船ながら漁業風景も楽しめるのがいい。出航すぐに、競艇場の先に「えり」が見えますとのアナウンス。産卵に来たアユや鯉やフナを狙い浅瀬に仕掛けた、矢印形をした定置網の一種で、琵琶湖大橋の南部を中心に100ヶ統ほど仕掛けられているという。瀬田川が流れ込む近江大橋付近に来ると、シジミ漁船の姿も。水深4メートルほどの浅さとはいえ、小船の上から人力で大きな籠付き熊手を使い湖底を掻くのだから、なかなかの重労働なのが見てとれる。

1時間ほど南湖をクルーズした後、遅いお昼は隣接するその名も「湖の駅」へ。二階にある「おいしや」には、周辺の特産品や近江牛などをおかずにした定食類が、豊富に揃っている。琵琶湖の遊覧後なら、セレクトはその名もズバリ「びわこ湖魚御膳」。ご飯はシジミの炊き込みご飯で、ぷっくり丸々したシジミの滋味満載なことといったら。淡水育ちの淡い貝うまさが全面展開、つつみこむような丸ごと琵琶湖の茶碗めしである。コンブとニンジンの海藻ダシや根野菜の土香が、シジミの旨みを支え引き出している。

琵琶湖のシジミというと、先ほど漁を眺めた瀬田川付近でとれる「瀬田シジミ」が知られる。琵琶湖水系のこの川の流れ込む砂地に棲息する固有種で、汽水域のシジミより身の味が濃厚なのが特徴。12〜4月の漁期の中でも、冬場の「寒シジミ」は味の良さと栄養価の高さで、特に珍重される。まさに琵琶湖のローカル魚介、と言いたいところだが、乱獲と環境の悪化で近年は数が激減。今や幻のローカル魚介になりつつある。

このご飯のおかずが、琵琶湖の固有種であるビワマスの焼き物。昨日つくりで味わった際、ギンザケや紅ザケよりも脂が少なく身の味の良さを感じたが、塩焼きにするとそれがさらにひとしお。柔軟かつ身の丈ちょうどな赤身の味わいに、ご飯が実に進むこと。シジミの炊き込みご飯を平らげた後、県産キヌヒカリの白飯をおかわりするほどで、きつめの塩もありこの一品とご飯だけで幸せな気分になれる。丸ごとパリッといける小鮎の佃煮、スジエビを大豆と煮たエビ豆が、甘さで味覚を新たにしてくれてありがたい。

食後に港へと戻り湖を遠望すると、ヨットやクルーザーが混み入り浮かぶ向こうを、漁を終えたらしき漁船が高速で湖面を飛ばしていくのが見えた。レジャーボートと漁業操業が入り混じる眺めは、日本一の淡水域の懐深さが、十二分に感じられるものである。

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