月島商店街でもんじゃ焼きをつまみながらビールを空け、店を出るとそろそろ夕暮れ時だ。商店街から月島駅へたどりついたものの、昼酒のせいか少々酔いが回ってきたようだ。少し覚ましてから帰ることにして、駅を通り越してかつての漁師町だった佃島方面へ向かって散歩してみることに。ぶらぶらと歩きながら、時折広い通りから外れて路地へ一筋入ってみると、木造家屋が顔をつきあわせるようにして立ち並ぶ、下町風情あふれる風景の中へと飛び込んでしまう。人ひとりがやっと通れるぐらいの、狭い裏路地に沿って、植木鉢が並んでいたり、窓に簾や風鈴が下がっていたりと、地下鉄名のようにこのあたりでは今でもなお、江戸情緒の名残を随所にとどめている。
迷路のような路地をくねくねと抜けていると、もんじゃ焼きの時と同様に、漂ってきたソースの香りに再び捕まってしまった。匂いを追って歩いていくと、家並みの中に間口の狭い店を発見。店頭にはひょうたんが描かれた暖簾が下がった小さな窓口が設けられていて、その奥では肉に串打ちをして、どんどんと揚げている様子が見える。コロッケや揚げ物を売る総菜の店かな、と思ったら、店頭には「レバーフライ120円」との品書きが貼られているのみ。それ以外は作っていないらしい。
薄切りにして串に刺したレバーに、微粒のパン粉をまぶして、高温でカラッと揚げてからソースに浸してできあがり。これが、「ひさご家阿部」自慢のレバーフライである。戦後から売り始めて、20年ほど前からはこれひと筋で商売しているという、こだわりの一品だ。近所からはもちろん、評判を聞いて地下鉄を使ってやってくる常連客もいるほどだが、すべて手作業で作っているから、1日1000本作るのが限界。夕方6時半の閉店前に売り切れることもしばしばだという。
散歩のおかげで酔いがすっきり覚めたので、ためしに1本買ってその場でかじってみることに。するとくしっ、としたしなやかな歯ごだえの後に、レバー独特のこってりした味わいが口の中にじわりと広がっていく。ピリッと香ばしいソースの香りのおかげで、レバー独特の臭みが感じられず、これはいくらでも食べられてしまう味だ。
冷めてもソースがよく染みてくるからおいしいよ、と店のおばさんに言われて、おみやげに5本ほど包んでもらい、月島駅へと引き返した。もんじゃ焼きにレバーフライと、下町庶民派グルメのうまさのポイントはどうやら、この郷愁をそそるソース味のようである。(2000年12月14日食記)
迷路のような路地をくねくねと抜けていると、もんじゃ焼きの時と同様に、漂ってきたソースの香りに再び捕まってしまった。匂いを追って歩いていくと、家並みの中に間口の狭い店を発見。店頭にはひょうたんが描かれた暖簾が下がった小さな窓口が設けられていて、その奥では肉に串打ちをして、どんどんと揚げている様子が見える。コロッケや揚げ物を売る総菜の店かな、と思ったら、店頭には「レバーフライ120円」との品書きが貼られているのみ。それ以外は作っていないらしい。
薄切りにして串に刺したレバーに、微粒のパン粉をまぶして、高温でカラッと揚げてからソースに浸してできあがり。これが、「ひさご家阿部」自慢のレバーフライである。戦後から売り始めて、20年ほど前からはこれひと筋で商売しているという、こだわりの一品だ。近所からはもちろん、評判を聞いて地下鉄を使ってやってくる常連客もいるほどだが、すべて手作業で作っているから、1日1000本作るのが限界。夕方6時半の閉店前に売り切れることもしばしばだという。
散歩のおかげで酔いがすっきり覚めたので、ためしに1本買ってその場でかじってみることに。するとくしっ、としたしなやかな歯ごだえの後に、レバー独特のこってりした味わいが口の中にじわりと広がっていく。ピリッと香ばしいソースの香りのおかげで、レバー独特の臭みが感じられず、これはいくらでも食べられてしまう味だ。
冷めてもソースがよく染みてくるからおいしいよ、と店のおばさんに言われて、おみやげに5本ほど包んでもらい、月島駅へと引き返した。もんじゃ焼きにレバーフライと、下町庶民派グルメのうまさのポイントはどうやら、この郷愁をそそるソース味のようである。(2000年12月14日食記)
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