ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

町で見つけたオモシロごはん34食目…横浜・港南台 『日本橋宮川』の、うなとろ丼とひつまぶし

2006年04月22日 | ◆町で見つけたオモシロごはん
 忙しかった日や疲れたときには、うなぎが一番だ。スタミナがつくことはもちろん、蒲焼を買ってきたら丼飯にのせてレンジでチン、とやるだけ。ほぼ調理無用? で食べられるのがまた、疲れているときには実にありがたい。

 1日中、仕事や家の用事で忙殺されたこの日、夕方になると動くのもしんどいほどへとへとになってしまった。スーパーでおかずになりそうなものを買ってきて、晩飯は手をかけずに済まそう、ということでうなぎが候補にのぼる。しかし蒲焼を買いにいって帰って飯をよそって、子供の分も用意して… と、考えているうちにどんどん面倒になってくる。同じ出掛けるならばいっそのこと、外食。最寄りである根岸線港南台駅前のショッピング街「バーズ」のレストラン街を目指し、クルマを走らせる。

 うどんやイタリアン、寿司、丼物、とんかつなど、3階のレストランのあるフロアを歩いていると、子供たちはおもちゃつきのお子様セットがある店へ行きたい様子だ。一度候補に挙がった以上、今日の気分はやっぱりうなぎ。目指す『宮川』へとまっしぐら、店頭のショーケースに並ぶメニューを、ほらあれがおいしそうだ、などと子供たちに勧めつつ店内へと入る。ここは日本橋に本店があるうなぎと鳥料理の店で、デパートの食事処にしては落ち着いた和風の店構えが目を引く。数卓のテーブルと小ぢんまりした座敷があり、年配夫婦やひとりの客が多い中、子連れで恐縮だが、空いていたカウンターに席をとる。

 さすが専門店だけにうなぎはうな重、うな丼とも、並から特上まで、品揃えは幅広い。目移りする一方で、結構いい値段がするな、と思っていたら、うなとろ丼やひつまぶしなど、値段が手ごろなうなぎ料理がいくつかある。自分はさらに元気を出すべくうなとろ丼とビールに、息子はこれはなんだろう、と首をかしげながら、刻んだうなぎがいっぱいのっている「ひつまぶし」を選んだ。お子様ランチはないけれど、子どもたちも気に入ったのが見つかったようでひと安心。海鮮丼や北海丼といった丼ものや、煮物や椀がついた弥生膳など御膳ものなど、うなぎ以外の料理も各種揃っているのもありがたい。

 甘辛くほっこりしたうなぎの肝の佃煮を肴にビールを飲んでいると、それぞれが頼んだ料理が次々に運ばれてきた。ここは日本橋の本店と比べ、ミニ会席や季節の御膳が充実しており、小鉢やおかずがついていて品数が結構多い。うなとろ丼は蒲焼2枚がのったうな丼に、すり鉢に入ったとろろが別添えになっている。これをうなぎの上からかけて、ご飯と一緒にかき込む仕組みのよう。先に蒲焼をそのまま頂くと、皮がパリッ、身はしっとりふっくらと、いい塩梅の焼きあがり。タレもそれほど甘ったるくないので、うなぎ本来の味がしっかり楽しめる。焼き加減上場の蒲焼の上に、とろろをかけてしまうのが少々もったいないので、ごはんにかけて口に運び、あとからうなぎをひと口。するとうなぎの味わいにとろろの粗野な香りが加わり、いかにもスタミナが付きそうな力強い味になる。

 ふと妙案を思いついてうなぎを半分ほど残し、あとは「とろろご飯」にして食べ進め、ご飯も半分弱残したところで小休止。隣で食べている息子を見ると、店の人に教わった通りのやり方でひつまぶしを食べている。ひつまぶしは名古屋名物のうなぎ料理で、小ぶりのおひつに盛ったご飯の上に、小さく切った蒲焼がのせられている。これをしゃもじで1膳ずつ茶碗によそって食べるのだが、3種類の食べ方が楽しめるのが面白い。1膳目はそのままうな丼風に、2膳目は添えてあった薬味をのせて一緒に、そして3膳目は薬味をのせた後、添えてある急須に入っただし汁を上からかけ回して、何とお茶漬けのようにして頂いて締めくくるのが流儀とか。以前、名古屋に行ったときに食べたことがあり、3膳目のお茶漬けが大層気に入ったのを思い出す。

 そこでだし汁をちょっと拝借、さっき少しだけ残しておいたご飯とうなぎの上からかけまわして、ちゃっかりこちらもうな茶漬けを楽しませてもらった。だし汁のおかげでうなぎがさっぱりと食べやすくなるから、締めくくりの3膳目にもってこいなのかも。こちらはついでにとろろも加え、うなとろ茶漬けにして締めくくった。だし汁が少なくなったので、追加を頼んで息子に返すと、品数豊富なのを頼んだようでまだ刺身や煮物が並んでいる。このごろ食欲旺盛だからちょっと高い店に行った際に、手加減なしで注文されると少々心配。おもちゃつきのお子様ランチがある店に行きたい、などと騒いでいるうちが、かわいいというか「安心」なのかもしれない。(2006年4月9日食記)


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