樽柿という手法のカキがある。そのままでは食べられない渋柿を、焼酎の樽に詰めて寝かせる。すると樽に残ったアルコール分が作用して、見事渋みが抜けるという。樽いっぱいのカキが、焼酎の残り香で酔っ払って甘くなるとは、様子を思い描くと何だか楽しげだ。
スーパーで佐賀産「樽トマト」というのを見かけたから、トマト栽培でも樽が利用されているようである。触感がしっかり固めで、手にとるとズシッと手応えあり。全体的に朱色が淡く、まだ若いトマトといった感じだ。名に対し「樽熟」ではないらしい。
いつもは生のまま水洗いして丸かじりするが、今日はナス、シメジとベーコンの炒めものに、カットして添えてみた。ホクホクの炒め野菜の合間に、キリッと鋭い酸味がインパクトあり、歯ごたえもガシッとしっかりしている。見た目通りのフレッシュさだが、ますます「寝かせる」「熟成」の樽のイメージとはかけ離れているような気も。
そのはずで、調べたら樽は実を寝かすためでなく、育苗に用いていた。地植えでなく、「樽」と呼ばれる容器で個別に育成するため、土壌環境を良好な状態で保てるのが利点。苗ごとの樽管理といえる。昔のトマトらしい食味が特徴らしく、この管理のおかげで一般流通のトマトより、糖度が1、2度高くなるとも。
樽トマトの栽培風景の写真を見たら、器は樽というより大型植木鉢風。やはり年季ものの焼酎樽入りの樽柿のほうが、どこか風情がある。ちなみに味わったトマトは甘さより酸味が主張していたけれど、これを焼酎樽に寝かせれば完熟して、糖度が上がったりするかな?
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