ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

ローカル魚でとれたてごはん…室蘭・室蘭中央市場の、クロソイ

2015年06月27日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん
その土地のお魚を学ぶなら、水族館に行ってみるのもおすすめだ。一角に設けられている地元のコーナーを見れば、ご当地の魚の顔ぶれがざっと一覧できる。その生態や、周辺の海域の環境についても殊勝に学ぶ一方で、さて今宵の肴にはどいつをいただこうかな、などと少々不謹慎な思惑もよぎったりして。

雨の室蘭で漁港や魚市場に足を向けるのが億劫になり、足を向けた室蘭水族館では、室蘭周辺の海域から北海道近海の魚まで、ご当地の魚の展示が充実していた。「ガヤ」と呼ばれるエゾメバル、まだら模様のババガレイ、口を半開きでポカンとしたツマグロカジカなど、どれも表情が豊かなような。寒流の魚コーナーでは、ワラワラと集まり目線をくれるホッケの大群が愛らしく、銀鱗輝かせて群泳するニシンはさすか北海道の魚といった貫禄である。

目玉展示の回遊水槽には、各種カレイがバタバタヒラヒラと、水平に羽ばたきながら回遊するのが珍しい。沈底したりガラスにひっついて大人しくしているのは、縦縞のシマゾイに真っ黒のクロソイ。説明書きによると、クロソイは室蘭市の魚にも制定されており、市街の料理屋でも味わえるとある。今宵味わうローカル魚に決めようかな、と寄ってみると、への字口の仏頂面で、何だよ? と愛想のないこと。

バスで駅まで戻る途中、アーケード商店街の中央通りで、車窓に「中央市場」の文字を見かけてあわてて下車ボタンを押す。室蘭中央市場という名前からして卸売市場に聞こえるが、商店街の小売市場らしく露店のような店舗が数軒、パラパラ並んでいた。中ほどの清水鮮魚店が道産の地物を揃えており、サロマ産の大粒シジミ、まる一尾の道東産のトキシラズや箱入りの根室のサンマなどが、店頭をびっしりと埋めている。

中には地元の室蘭や白老の地名も見られ、近海が噴火湾と太平洋の両方の魚介が水揚げされる好漁場なのが伺える。そしてさっき水族館で見たヤツも、丸々と太ったいい型のが鮮魚で並んでいるではないか。クロソイは黒光りし、シマゾイには金の縞が入り、見るからに貫禄が感じられる。市の魚だけに水揚げも結構あるのか尋ねたところ、「天然ものは数が減ってしまい、あまり出回らない」とご主人。料理屋で使っているのは、養殖物が中心という。

室蘭はクロソイの養殖も盛んで、市街の南に位置する追直漁港に施設が設けられている。漁業施設が設置された人工島「Mランド」の内側の、穏やかな水域を利用して、稚魚を2年半から3年かけて育成、出荷している。市街の鮮魚店や飲食店に出回るのは30センチ前後、450〜500グラムぐらいのサイズだから、水族館のものやここに並ぶものよりもひと回り大きめだろうか。でもご主人いわく、養殖物は天然のよりやや身が細いのだとか。

ついでにご主人に、クロソイが食べられる店を紹介してもらおうとしたのだが、そもそも扱う店が少ない上、基本は予約なのだそう。そこを何とか、と懇願したら、「中華でもいい?」と近隣の店に電話を入れてくれた。指示に従って駅に近い「ふくわらい」を尋ねたら、「これからクロソイを取り寄せるから、ディナータイムでもよろしいでしょうか」飛び込みで味わえるのなら異存なしで、ていねいにお礼を伝えて17時に出直すことに。

以下、後編は食べた後にて。

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