四国屈指の水揚げ・取扱量を誇る愛媛県の八幡浜漁港を訪れ、直売店が集まる「どーや市場」や、隣接する八幡浜水産物地方卸売市場をひと通り散策。瀬戸内や宇和海、太平洋の漁場で、底引き網や巻き網で水揚げされる魚を眺め、競りや仕分けで活気のある市場を見学し終えると、そろそろお昼が近い。せっかくだからここで水揚げされる地魚を扱った食堂で腹ごしらえしようと、色々と魚のことを教えてくれた三原鮮魚店のおばちゃんのところへと引き返す。市場で働く人御用達の「市場食堂」、できればどーや市場で買った魚を持ち込める食堂があればなおいい。おばちゃんに聞いたところ、持ち込みは無理だけれど、地魚を頂ける食堂なら「ここを出たところ、駐車場の脇にある『みなもと食堂』へ行ってごらん」と勧められた。
教えられたとおりに建物を出て、広い駐車場を突っ切っていくと、ちっぽけなプレハブの建物を発見。幟が立っているから食堂らしいが、知らなければつい見過ごしてしまいそうだ。どーや市場と同様に、ここも移転までの間は仮設のプレハブで営業しているらしい。扉を開けて中に入ると、店内にはカウンター席があるのみ。店にはおばちゃん2〜3人と親父さんに対し、お客は3人ほどと、客よりも店の人が多いほどである。
市場で働いている常連らしいお客に並んで、カウンターの一角に腰を下ろし、卓上のメニューに目を通す。定食のほかに一品料理も豊富で、迷いつつおばちゃんに「今日水揚げされた魚を使った料理を」と尋ねてみた。八幡浜漁港の水揚量の第1位はアジ類、2位は太刀魚、3位はイカ類で、ほかヤガラ、アマギ、フカ、ウチワエビなども代表的な漁獲である。そんな中、どんな魚料理がお勧めなのか期待したところ、「ここで揚がった魚の料理ねえ、サバぐらいかな」と、おばちゃんの返事。市場で色々と珍しい魚介も見た後だけに、この土地でのみ頂けるような魚を期待したので、ちょっと拍子抜けか。おすすめは締めサバとのことだが、ここは無難にサバ塩焼き定食にして、ご飯も軽めでお願いする。すぐにサバの塩焼きが出され、思ったより切り身が小さい。おかずが寂しいので、ついでだ、としめ鯖も注文することに。
このしめ鯖が、何と大当たり。ちょっとしてから運ばれてきた皿には、しっかり厚切りにされた刺身がいっぱいのってきた。ほんのりピンク色の身の淵には、茶色の脂がびっしり付いていて、いかにも脂ののりがよさそう。一見するとサバの造りのようだが、酢で締めてある証拠に、皮の付け根がほんのり白く締まっている。「真っ白くなるまでしっかり締めたのが好きな人もいるけど、うちのサバは鮮度がいいからね」とおばちゃん。今朝とれて水揚げされたばかりのサバを塩で40分、さらに酢で2時間締めたという、この食堂自慢の一品だ。口に入れると最初は刺身風で、サクサクした歯ごたえの後、脂がじわじわトロリ。最後に酢がスパッと軽く切る感じで、実に潔い後味。普段食べ慣れたサバも、鮮度がいいと別物で、これは恐れ入った。おかげでじゃんじゃん飯が進み、軽めにして減らした分のご飯をとりかえすように、お代わりしてしまったほどである。
考えてみればサバだって、主に宇和海で巻き網により漁獲され、八幡浜漁港の水揚げのほとんどを占めるから、確かに代表的な地魚だ。ありふれた大衆魚でも、水揚げ港で食べればこんなに味が違うものか、と、漁港に隣接する市場食堂の実力を、改めて思い知らされた気分である。食後にお茶を頂きながら、テレビを見てひと休み。ちょうど高校野球をやっており、地元代表の宇和島の高校が奮闘中で、先客のふたりも熱心に応援している。高校野球中継とは、もう夏たけなわの感じだな、と思いながら、ごちそうさま、と店を後に。再び八幡浜駅方面へと引き返して歩く頭上には、夏日の青空が広がっている。漁港と市場めぐりは涼しい早朝なのがありがたく、宇和島へ向かう列車では食休みを兼ねてひと眠りとするか。(2006年8月7日食記)
教えられたとおりに建物を出て、広い駐車場を突っ切っていくと、ちっぽけなプレハブの建物を発見。幟が立っているから食堂らしいが、知らなければつい見過ごしてしまいそうだ。どーや市場と同様に、ここも移転までの間は仮設のプレハブで営業しているらしい。扉を開けて中に入ると、店内にはカウンター席があるのみ。店にはおばちゃん2〜3人と親父さんに対し、お客は3人ほどと、客よりも店の人が多いほどである。
市場で働いている常連らしいお客に並んで、カウンターの一角に腰を下ろし、卓上のメニューに目を通す。定食のほかに一品料理も豊富で、迷いつつおばちゃんに「今日水揚げされた魚を使った料理を」と尋ねてみた。八幡浜漁港の水揚量の第1位はアジ類、2位は太刀魚、3位はイカ類で、ほかヤガラ、アマギ、フカ、ウチワエビなども代表的な漁獲である。そんな中、どんな魚料理がお勧めなのか期待したところ、「ここで揚がった魚の料理ねえ、サバぐらいかな」と、おばちゃんの返事。市場で色々と珍しい魚介も見た後だけに、この土地でのみ頂けるような魚を期待したので、ちょっと拍子抜けか。おすすめは締めサバとのことだが、ここは無難にサバ塩焼き定食にして、ご飯も軽めでお願いする。すぐにサバの塩焼きが出され、思ったより切り身が小さい。おかずが寂しいので、ついでだ、としめ鯖も注文することに。
このしめ鯖が、何と大当たり。ちょっとしてから運ばれてきた皿には、しっかり厚切りにされた刺身がいっぱいのってきた。ほんのりピンク色の身の淵には、茶色の脂がびっしり付いていて、いかにも脂ののりがよさそう。一見するとサバの造りのようだが、酢で締めてある証拠に、皮の付け根がほんのり白く締まっている。「真っ白くなるまでしっかり締めたのが好きな人もいるけど、うちのサバは鮮度がいいからね」とおばちゃん。今朝とれて水揚げされたばかりのサバを塩で40分、さらに酢で2時間締めたという、この食堂自慢の一品だ。口に入れると最初は刺身風で、サクサクした歯ごたえの後、脂がじわじわトロリ。最後に酢がスパッと軽く切る感じで、実に潔い後味。普段食べ慣れたサバも、鮮度がいいと別物で、これは恐れ入った。おかげでじゃんじゃん飯が進み、軽めにして減らした分のご飯をとりかえすように、お代わりしてしまったほどである。
考えてみればサバだって、主に宇和海で巻き網により漁獲され、八幡浜漁港の水揚げのほとんどを占めるから、確かに代表的な地魚だ。ありふれた大衆魚でも、水揚げ港で食べればこんなに味が違うものか、と、漁港に隣接する市場食堂の実力を、改めて思い知らされた気分である。食後にお茶を頂きながら、テレビを見てひと休み。ちょうど高校野球をやっており、地元代表の宇和島の高校が奮闘中で、先客のふたりも熱心に応援している。高校野球中継とは、もう夏たけなわの感じだな、と思いながら、ごちそうさま、と店を後に。再び八幡浜駅方面へと引き返して歩く頭上には、夏日の青空が広がっている。漁港と市場めぐりは涼しい早朝なのがありがたく、宇和島へ向かう列車では食休みを兼ねてひと眠りとするか。(2006年8月7日食記)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます