ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

町で見つけたオモシロごはん6…ラーメン激戦区・目黒権之助坂、藤平のラーメンはヘルシー?

2005年09月24日 | ◆町で見つけたオモシロごはん
 目黒区民センターで用を済ませた帰り、駅まで歩いて行こうと目黒川沿いを歩き、目黒通りに出たところでかなりな急な坂が待っていた。忙しくて昼食をまだ済ませておらず、目黒駅まで延々続くこの権之助坂をかかえて登っていくのは、なかなかしんどいものだ。
 
 駅前通りでもあるため、沿道には飲食店がいくつも軒を連ねており、駅へ着くまでにどこか店を決めて遅いお昼を済ませたい。店を物色しながら歩いていると、特にラーメン屋が多いよう。目黒駅周辺は都内有数のラーメン激戦区だけあり、東京ラーメンや熊本ラーメン、本格的な中華料理店、さらにチェーンや有名店の支店など、様々なタイプが立ち並んでいる。選択肢はたっぷりある分、メニューを見ては次の店も期待してしまい、なかなか店が決まらない。

 底抜けの空腹のおかげで、「ラーメンと小チャーハンのセット」の文字に誘われて「藤平」という店で足が止まった。ランチは15時までとあり、時計を見ると3分前で急いで駆け込み、カウンター席へ落ち着いた。店の人によるとセットのラーメンはベーシックな「藤平ラーメン」で、ほかのものも選べるということで見た目が食欲をそそる「ピリカラ藤平」に変更。カウンターには「ラーメン藤平物語」なるマンガの小冊子があり、待つ間に開いてみると店主の立志伝が綴られているのが面白い。

 冊子によるとこの店、本店は大阪の新御堂筋沿いにあり、心斎橋ほか天六や上新庄、伊丹、東大阪など大阪周辺に広く店舗展開をしている。その数現在20軒。うち東京には2軒出店しており、目黒店はまさに激戦区へ殴り込みといったところか。見よう見まねで作ることから始まったというスープは、「味に深みがある浪速風味仕込みのまったりとんこつ」とある。メニューの写真を見る限りでは、熊本ラーメンに見た目が似ているが、浪速風のとんこつラーメンとは果たしてどんな特徴があるのだろうか。

 先に運ばれてきたラーメンは黄土色に濁ったスープで、具はチャーシューにネギ、きくらげ、辛みをつけたもやしなどがのったシンプルなトンコツラーメンである。まずはスープをひとくちすすると、とんこつの割には随分さらりとしたあっさり味。結構軽い味だな、と思いつつふた口、三口と味わっているうちに次第に味に深みが感じられ、後をひくようになるから不思議だ。ピリカラのポイントである、トウガラシ風味のミンチをスープにまぜるとスープの味わいが一変。丸みのある辛みが口の中に広がり、これがさらに食欲をそそる。卵の味がしっかりする細麺との相性も良く、スープがたっぷりからんでどんどん進んでしまう。

 麺とスープをひとしきり頂き、ややお腹が落ち着いたところで具やチャーハンにも箸をのばしてみる。出されてすぐにスープに浸しておいたチャーシューは、脂身の部分が熱でほどよくとろけ、思わず顔がほころぶ絶妙の味わいだ。黒豚のバラ肉をじっくり煮込んであり、近江米のコシヒカリを使ったというチャーハンもこのチャーシューの脂が隠し味。行儀が悪いが、空腹にはありがたくガツガツどんどんかき込める。

 ラーメンはスープまで飲み干し、チャーハンもすっかり平らげると空腹もすっかり吹っ飛んだ。食後に再び冊子を眺めると、後書きにはラーメンのスープはトンコツのカルシウムや野菜のビタミンが溶け込み、チャーシューはコラーゲンなどがたっぷりで体にいいとか。確かにおかげで、延々と歩いてきた疲れもとれたかも。店を出て再び坂を目黒駅に向けて登っていくと、「野方ホープ」など気になる名店をいくつも見かける。改めて食べに来るときは、今度はのんびり坂を下りながら店選びをしたいものだ。(2005年9月21日食記)

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