上大岡京急百貨店の「大信州展」を覗いていたら、奥に蕎麦のイートインを見つけた。長野市街に店を構える、戸隠そばの「山故郷(やまざと)」で、麦とろや春の山菜天ぷらそばなどに並び、「霧下そば」の文字。純戸隠産そば粉と限定100食にもひかれ、遅い昼ごはんにしてみた。簡易店舗ながら、ゆであがるのに少々時間がかかります、との案内に、かえって本格感が感じられる。
味がいい蕎麦の産地に高地が多いのは、寒暖の差が大事なことによる。霧下そばも同様で、名の通り早朝の冷え込みで発生した霧の水分が、蕎麦の実を包み込み、甘みと香ばしさを出すという。標高1000〜1300メートルほどの戸隠高原ならではの、産地特性の賜物だろう。
ざる一枚にワサビ、ネギ、大根下ろしの薬味、さらにご当地の八幡屋の七味まであるが、ならではの香りを楽しむなら薬味は不要。太めの蕎麦を、つゆに軽く浸してズゾッ。グッ、グッと手応えある腰に、ひやりとした冷そばの舌ざわり、そして芳醇な甘み。産地の恵みあふれる、これぞ信州そばの醍醐味である。後味の軽い香味も、また独特。
簡易店舗だからか量は軽めで、どしどしたぐり、あっという間に完食。隣接して地酒のブースがあり、そば屋酒も恋しくなる。追加のゆであがりにも間があるだろうから、「真澄」の新酒を試飲しながら待ちたいところ?
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