今年も再び、自分の誕生日がやってきた。家族のみんなで、前の自分の誕生祝いに横浜ワールドポーターズへ行ったのが、ついこないだだったようなのに、何とも早いものである。結婚して子供が成長して、仕事も多忙を極め、と日々生活のサイクルが早くなってきているおかげで、誕生日の間隔がここ数年、どんどん短くなっているような気がする。
という訳で6月のとある週末、夕方早めにワールドポーターズへとやってきた。インフォメーションでハッピーエブリバースデーの申し込みをして、ちょっとしたプレゼントを頂き、ショッピングを楽しんだところで7階のレストランフロアへ。この日もいつもの『L・A・S・T』が、バースデーディナーの会場である。
ここはアメリカンスタイルの豪快なボリュームに、メキシカンの辛さやエスニックテイストがミックスされた、いわゆるTEX-MEX料理の店。店内に入るとカウボーイスタイルのお姉さんが、元気よく迎えてくれる。店内もカラフルなネオン管を多用したアドサイン、コカコーラのホーロー製のアドボード、車や人形のアンティークトイなど、いたるところがオールドアメリカンなテイスト。ファミリーパーティーにはもってこいの、華のあるダイナーである。
みなとみらいの遊園地・コスモスクエアに隣接。窓の外はきれいなイルミネーションが
窓の外に、みなとみらいの大きな観覧車が見える席に通されて、でっかいメニューを開いてみんなでメニューを検討。ステーキやハンバーグなど肉料理にポテトやオニオンのフライ、各種ピザにパスタ、ハンバーガーと、いつもながらどの料理もボリュームがすごい。この店には、夕食時で空腹のこの時間帯に来店することが多く、ついあれこれ頼んでしまうのだが、食べ切れずにテイクアウトをお願いしたことも。
スピードくじ付きのバドワイザーに大盛りのポテトと前菜、そして大人のメインディッシュはメキシカンテイストの肉料理が、いつもの定番料理。子供たちは好みのピザを選んで注文は完了。バドワイザーとジュースで、まずは誕生日おめでとうの乾杯である。
ドリンクが運ばれてきたすぐ後に、店のお兄さんが石臼と、材料がのった皿とともにテーブルについた。前菜の「テーブルサイドワカモーレ」は、ここで仕上げをするようで、まずは石臼に種を抜いたアボガドを入れてつぶし始めた。すっかりクリーム状になったら、刻んだトマトとタマネギを混ぜ込み、最後にチーズを加えてできあがり。
このディップを、添えてあるタコスですくって頂く仕組みで、ねっとりしたアボガドにチーズのコクが加わり、さらにトマトの酸味が程良く、これは食前にもってこいである。メキシカンな前菜なら、ピリッと辛味があってもよさそうだ、と思ったら、好みでハラペーニョを入れるんですが、お子さんがいらっしゃるので辛くなく仕上げてます、とお兄さん。そのおかげか、子供たちの手がどんどん伸び、あっという間にタコスを使い切ってしまった。残ったディップだけスプーンですくいながらバドワイザーを飲んでいると、さっきのお兄さんが追加でどうぞ、とタコスを持ってきてくれた。
テーブルサイドワカモーレ。つぶしたアボガドにチーズがたっぷり
子供たちが頼んだ、チーズがたっぷりのったダブルチーズピザに、ハムとパイナップルのトッピングが個性的なハワイアンピザを少しずつもらって、さらにビールを飲んでいると、先に家内が注文した肉料理「マルガリータチキン」が登場。これもテーブルで仕上げをするらしく、お兄さんが何か入った瓶を片手に持っている。瓶の中身はテキーラとのことで、それを料理にさっとかけたかと思ったら、「ファイヤー!」との掛け声とともに、鉄板にボッ、と炎が上がった。
すぐに自分が頼んだ「ビーフファヒータス」も運ばれてきて、こちらはお兄さんが仕上げにソースをざっ、とかけまわしたとたん、ジャーッと煮えたぎる音があたりに響く。炎のビジュアルに煮える音と、食欲をそそる調理パフォーマンスが、アメリカンスタイルの店ならではのエンターテイメント性に富んでいる。
ファヒータスとは肉や魚を辛目の味付けで調理して炭焼きにして、炒めた野菜と一緒にトルティーヤで巻いていただく料理で、TEX-MEX料理の代表的な一品である。熱々の鉄板の上からソースをかけて仕上げるのも特徴で、ジャッ、ジャッと音を立てながら肉をソースにしっかりからめていざ、いただきます。付け合せのタマネギやピーマン、そして青唐辛子を一片、一緒にトルティーヤにのせ、トマトを刻んだドレッシングもかけて、くるりと巻いてかぶりつく。
しっとりしたトルティーアの中は、肉汁がジュッ、野菜がシャリッと野趣あふれる食感。メキシコの乾いた大地が思い浮かぶ、粗野な味だな… なんて余裕に思っていたら、突然強力な辛さがガツンときた。ハラペーニョのびりびりしびれる、というか痛いほどの辛さがまた、メキシカンテイストか。あわててバドワイザーを追加して、舌の大火事の消化にかかる。
マルガリータチキン(上)とビーフファヒータス
デザートはほかのみんなで分けてもらうことにしたら、イチゴクリームでかかれた名前はどっちがもらうとか、ケーキにのったホワイトクリームはどうするとか、子供たちがあれこれやっている。自分はデザートのかわりに頼んだカクテルを傾けながら、ピアノ&ソウルの生演奏をぼんやり聞いている。すると、「本日、お誕生日のお客さんがいらっしゃいます」。
再び店中の注目と拍手を浴びて、今度は女性ソウルシンガーによる、ハッピーバースデーの熱唱を拝聴。加えてプレゼントソングとして、リチャード・マークスの「ナウ・アンド・フォーエバー」に、ミニー・リパートンの「ラヴィン・ユー」と続く。これは「ハッピー…」の特典ではなく、シンガーからの贈り物との事で、彼女と目が合い、こちらに向かって歌ってくれているのが何ともうれしい。
バースデーサービスのケーキ。チーズケーキがなかなかうまい
LaLaLaLaLa, LaLaLaLaLa, …とのフレーズが特徴ある「ラヴィン・ユー」が終わり、目礼でお礼の意を伝えたら、彼女も微笑みで返し、再び通常の演奏へと戻っていった。子供たちもデザートを無事、平らげたようで、自分もグラスにのこったカクテルをグッ、と一気にあけて、そろそろパーティーもお開きである。
気がつけばまた、この店で同じようにケーキのローソクを消して、祝福の唄を聞いて、と、年々1年間が過ぎる速度がスピードアップしていくのだろう。自分もどんどんと動き回って、何かを残して、と、その速さに負けないようにがんばっていかねばならない。
決意を新たに? 最後はレストラン街の一角にあるゲームコーナーへ向かい、恒例の家族全員で記念のプリクラをとってお開き。そういえばこのプリクラも、もう何枚目になったかな。(2007年6月10日食記)
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