塩分と酸味。「塩梅」の文字面は、味加減の勘所を実にストレートに表している。特に塩を自在に扱えることは、料理人の基礎。湯にひとつまみ加えるだけで、いい味の吸い物を調理できれば、塩梅の見切りがしっかり身についている証といえる。
飲んだ締めの麺は、濃い口の味を体が求めがちだ。こってり系を選びたくなるところ、最近のお気に入りは地元・上大岡のタンタン麺。スキッと一本通った塩ベースのスープには、ニラやニンニク、唐辛子のとんがった香りが背後に控える。刺激臭がツンツンになりそうなのに、マイルドかつ穏やかな味わいに保たれているのが、実に見事。手早くテンポのいい調理風景に、塩加減の絶妙な技が垣間見られる。
でっかい丼には青菜、ひき肉、溶き卵、ザーサイ、さらにコシのある中太麺がたっぷり。卓の調味料から酢を軽くかけ回せば、お腹への入りも快調だ。深夜にうれしい締め麺は、スープの塩梅こそが命、である。
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