かつて各地で地ビールがブームだった際、我が家からクルマで20分ほどの八景島の近くにも地ビール工場があり、よく通った時期があった。その名も「八景島ビール」とあるように、東京湾に面し、横浜八景島シーパラダイスを望む地ビール工場。小さなブルワリーにビアレストランが併設されて、本格的ドイツ仕込の「八景島ビール」を買うのはもちろん、併設されていたレストランにも通い詰めたものだった。
結局、地ビールのブームが収まるのに合わせるように、この施設も数年前にあえなく閉鎖に。リニューアルされた後は別の流行を追ってなのか、何と、スパ施設になってしまった。お気に入りの地ビールはなくなってしまったし、スパは結構利用料が高く、以来足が遠のいていたのだが、たまたまスパ施設の割引券が手に入ったため、とある夏の夕方に家族でひとっ風呂浴びにいくことにした。
「シーサイドスパ八景島」と名を改めたが建物は昔のままで、かつてブルワリーと売店があった1階に設けられた浴室へと足を向けると、ジャグジーや薬湯、露天岩風呂など4~5種の浴槽が並んでいた。海洋療法、俗に言うタラソテラピーを導入しているのが売りらしく、浴室中央には海水を温めた湯、海洋泉風呂が目玉らしい。湯はややぬるめのため、何だか海水浴ならぬ生ぬるい海水で「海水温浴」をしているような気分。
風呂あがりにはグッと地ビール、と、かつてのあの味わいが懐かしくなったけれど、今宵は館内にある食事処で普通のビール、といくしかない。風呂からあがってきた家内と娘と、休憩室で合流したら、夕食をかねてこの『レストラン滄海(あおみ)』へそのまま直行。2階にある店の海側にはテーブル席が並び、山側の畳の座敷へ落ち着くことに。窓から見える、ヨットハーバーとその向こうにシーパラのピラミッド型水族館という景色には、何だか見覚えがある。確か、かつて八景島ビールだったときに通ったレストランも2階、つまりまったく同じ場所だ。
当時はカジュアルイタリアンだったのが、今はメニューにはしゃぶしゃぶに鍋をはじめ、各種定食や丼物、そば、うどんが中心と、いかにも和食ファミレスといった印象の店に変貌していた。そんな定番料理が並ぶ中で、魚料理の充実には目をひかれる。各種刺身の盛り合わせに定食、天ぷらと、かつて以上に漁港に隣接した立地を生かすようにしたのだろうか。界隈には釣り船の発着場も多いため、「持込の釣り魚の料理も受け付けます」との文字も見られる。
3種、5種と選べる刺身の中から、「本日の鮮魚」というのが気になったので、お姉さんに聞いてみると「今日の魚はカンパチです」とのこと。これとしめ鯖を頼んで、とりあえずこの店の魚の実力を測ってみるとしよう。娘はお気に入りのサケイクラ丼、そして息子がオーダーした刺身定食には、本日の鮮魚であるカンパチのほか、タコ、イカ、サーモン、タイ、マグロ、甘えびと、各種刺身が揃う豪華版だ。
ジョッキの中身は、どっしり飲み応えがあった地ビールのヴァイツェンからスーパードライになったけれど、湯上がりの渇きには何でも問題なし。運ばれてきたカンパチの刺身は、身が柔らかく歯ごたえサクサク、時節柄か脂ののりが控えめで、身のくっきりした甘みが楽しめる。しめ鯖は締め加減が浅めのため、生っぽさと黒っぽい脂の濃厚さと両方味わえるのがいい。ワサビがおろした生ワサビなのがさすがで、ツンと強い香りがいいアクセントに。
これは魚料理に関しては、和食ファミレスの域を超えた実力、と納得して、追加も東京湾の地魚料理といきたい。丼からはみ出すほどのアナゴの天ぷらが2本ものった、ボリューム満点のアナゴ丼の写真が品書きにあるが、見るからにボリュームがすごい。お姉さんに聞いてみたら、アナゴは天ぷらのみの単品もできるそうなので、家内と1本ずつ分けることにしてひと皿、注文。
程よく脂がのったカンパチ。生ワサビがピリッと効く
東京湾で最大級の水揚げを誇る柴漁港において、アナゴは「柴の地魚」と称されるように、シャコと並び屈指の水揚げを誇る魚介である。一般的に江戸前のアナゴ、といえば柴のアナゴを指すぐらいで、料亭や寿司屋ではブランド指定で買い付けされるほどの人気なのだとか。壁に掲げられた貼紙の「柴のアナゴはミシュランで星をとった有名店の素材に負けない」との文言にも、かなりの自信を感じさせる。
柴漁港のアナゴ漁は、延縄式の筒漁で操業している。イワシやスルメイカの餌を入れた長さ80センチほどの筒を、長さ15キロほどの縄に600本ほど連ねて船上から流し、ひと晩沈めて翌朝引き上げると中にアナゴが入っている、という寸法。捕らえたアナゴはすぐに水揚げせずに、一晩、網に入れて海中で活かし、腹の中をからっぽにしてから出荷する。柴漁港では毎週日曜の午後、一般の人も購入できる直売市が開かれていて、水揚げしたてのアナゴを購入することもできる。
そしてアナゴは何といっても、鮮度の良さが一番で、水揚げ港に隣接した料理屋で食べるに限る。柴漁港界隈には天ぷらをはじめ、アナゴ丼、アナゴ寿司など、アナゴの料理を出す料亭や寿司屋が立ち並ぶのも道理で、漁港からわずか数十メートルのところにあるこの店のアナゴが味がいい訳か。近くには何と、アナゴフライを中に入れた「アナゴパン」を扱う手作りパンの店も。
大アナゴの天ぷらを肴にビールを飲めば、充分満腹になってきたが、えびにマグロ、イカ、鯛と刺身をおかずに飯をガンガン食っている息子を見ていると、こちらも締めにご飯ものを食べたくなってしまう。お茶漬けで軽く締めようと品書きを眺めたら、サケや梅、海苔に混じって「まぐろ茶漬け」なるものもある。
マグロといえば、三浦半島の先端に位置する冷凍マグロの日本有数の水揚げ港、三崎も、八景島から比較的近い。店の品書きにも、ぶつ切りのヅケマグロや、赤身マグロのカルパッチョといった、マグロの一品料理がいくつか見られる。まぐろ茶漬けは、ご飯の上に赤身のマグロを並べ、上から熱々のダシをかけまわしたもので、青ネギ、ゴマ、のりが香ばしく、半煮えの刺身がするりと食べられる。
飲んだ締めの一品にはもってこいで、さらりと頂き、ごちそうさま。店の人に、店で使っているマグロは三崎で水揚げされたものか尋ねたところ、「築地から直送した、三崎の上物のマグロです」と、少々ややこしい自慢げな返事が返ってきた。
まぐろ茶漬け。熱いダシのおかげで刺身がほんのり煮えている
まぐろのお茶漬け、おいしそうですね。
写真みるたび、お腹がすいてきてしまいます
いいですね^^
いつもおいしそうな写真でよだれがでそうです。
さて、ご依頼の件ですが、実はなかなかあの店に近い雰囲気のところって、ないものです。ご存知かもしれませんが、鳥浜の三井アウトレット横浜ベイサイドのレストランモールが、若干雰囲気が近いかもしれません。
イタリアンであれば、2階の「ブルスケッタピックスカフェ」、バイキングレストランなら1階の「マーレクッチーナ」は、味もまずまずでおすすめです。ただ、ビールはどっちも有名銘柄のみなのであしからず。
また全然テイストは違いますが、八景島近くのテクノタワーホテル上層階にある「鉄板焼き八景」は、本格的なステーキレストランであの界隈では珠玉のお店です。ちょっと高いですが?
以上、参考になったかどうか自信はありませんが、ご参照ください。横須賀のおすすめのお店も、機会があればぜひ教えてください。
ベイサイドを紹介して頂きありがとうございました、素敵な場所ですが行く機会があまりなかったです、でもシーサイドで横浜を代表していて、是非行ってみたいと思います。
鉄板焼きもいいですねぇ~、案外地元でこだわったお店って把握できてなくて、遠方のお客さんをもてなせない部分があります、いつかチャレンジします!
今月、私の三十路の誕生日があるので家族に自己発信でベイサイド希望してみます笑
わざわざ本当にありがとうございました!
ちなみに、横須賀ですが・・・、チェーン店しか知らない中で横須賀中央モアーズにインドネシア料理スラバヤがあります、カレーは定番ですが家庭では出せない香辛料で炒めた野菜炒めがビールに合います、中央駅付近には他にもインドネシア料理を外人がまかなっているとこが何軒かあるので勇気を出して入店するとかなりおもしろいですよ!
と、知識不足ですみません、ではまた。
私も京急沿線なので、中央はたまに行きます。スラバヤはワールドポーターズにもあって(同じ系列か?)、いつも気になっている店ではあります。
週一ぐらいで更新していますので、また遊びに来てください。mixiのほうにも上記名でやってますので、もし入っていればこちらも覗いてやってください。
私もmixiしてます、子供のことと旦那の愚痴ばかりですが宜しくおねがいします。