宇部新川駅のそば、興産通りからやや入った繁華街の入口にある居酒屋。鮮度のいい魚介を使った料理が、地元で評判の店である。
おまかせの刺身からいくと、鯛、シメサバ、サワラ、スジガツオ、マナガツオ、ハモ。シメサバは身が厚く、脂ののりがしっかり。宇部を代表する地魚のハモは、骨切りして湯がいた身を梅肉でさっぱりと。これも瀬戸内の魚であるサワラは、刺身と湯引き2種食べ比べなのがさすが。スジガツオは歯ガツオのことで、脂のノリはほどほどだが身がもっちりと瑞々しい。
地元産のかまぼこ「宇部かま」の刺身・かま刺は、すり身が濃厚で歯ごたえあり。梅、わさびほか、ニンニクマヨネーズが意外に合う。メインはこの店の看板の石焼料理から、地ダコの石焼。タコも宇部の特産で、刺身でもいけるタコをネギと焼け石にのせ、チリチリと丸くなったらレモンだれでいただく。淡白な旨味が熱を通すことで引き立ち、軽くあぶった半ナマもうまいが、吸盤はよく焼くと歯ごたえがコリコリとして味が深まる。
酒米から作っている市街の蔵、永山本家の「貴」を傾けながら、アートと工業の街歩きの締めくくりに。