ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

【朝カルおさんぽ講座】門前仲町編

2019年05月18日 | おさんぽ講座・介護レクの記録
朝日カルチャー「編集長と歩く東京ぐるっとさんぽ」門前仲町編は、総勢20名の大所帯で開催。スタートは月島なのは、隅田川河口のかつての島を巡る趣向のためで、一風変わった門仲へのアプローチとなった。

月島は隅田川河口の土砂だまりを埋め立てた地で、漁師町だった佃島、造船所のあった石川島も、江戸期には天然の島だった。石川島では葦原を埋め立てたところの人足寄場や、石川島造船所の跡に立って当時を偲ぶ。微罪の者たちが手に職をつけた「職業訓練所」だった人足寄場、軍艦から輸送船まで幅広く建造した造船所とも、タワーマンションの林立する現在はその面影はない。これらの説明は資料館に委ねたが、むしろ大川端リバーシティの家賃事情などの方が、受講者の反応がよかったよう。

相生橋で隅田川派川を渡る途中では、隅田川の中にある唯一の島・中の島にも立ち寄った。現在石川島播磨の本社がある豊洲方面や、屋形船の繋留所も見られる景勝地だ。土手越しには小笠原の領有に貢献した蒸気帆船「明治丸」のマストも見え、東京海洋大構内でその姿を間近に臨んだ。大学がある越中島も、隅田川の河口の砂州にある島が起こりである。

水路の大横川を渡り、レトロな飲み屋小路の辰巳新道を冷やかしたら、門仲の二大寺社を巡って締めくくりに。多種多様な仏像が揃う深川不動堂と、大関・横綱力士の碑が立つ富岡八幡宮はともに、かつてあった大寺院・永代寺の境内地だった。これまた隅田川河口の「永代島」という島に位置し、島めぐりさんぽの最後にはピッタリかも。

次回は6月の豊洲市場だが、すでに満席でキャンセル待ち。7月の六本木〜麻布十番は、まだお席に余裕あります。

カフェ東亜サプライのオムハヤシライス@門前仲町

2019年05月18日 | 町で見つけた食メモ
深川めしとかうなぎとか午後からやっている飲み屋とか。胃袋を満たす場所が様々あるこの街にて、長居しやすいのは駅上のこちら。年季の入った大型の昭和系純喫茶で、使い込まれた調度とランプを模した明かりが落ち着ける。

東亜コーヒー系の本格珈琲はもちろん、喫茶店フードのレベルもかなりのもの。ケチャップの酸味が清々しいチキンライス&表しっとり裏とろとろのオムレツ&煮込まれ肉が溶け込んだコクがあるデミソースのこれ、下町洋食の丁寧な仕上がりが染みる。

窓辺から交差点を見下ろすいつもの席へ、この半年で三度目の訪問。もう立派に門仲の居場所だ。

日本百貨店さかばのお雑煮イベント@八重洲

2019年05月18日 | 町で見つけた食メモ
昨日は久しぶりに、日本百貨店さかば「どようび」にお邪魔。テーマはお雑煮で、研究家でもある「お雑煮屋さん」の粕谷さんが選んだ3地域の品を味わった。餅を取り出して絡めて食べる、とのお題が面白く、それぞれ別添えのからませものが興味をそそる。以下、粕谷さんの説明より。

くるみ雑煮は岩手の宮古からで、煎って潰してだしを加えたくるみだれが添えてある。香ばしく濃厚な甘さが、ハレの食らしい華やかさだ。クルミは国産のオニグルミという種で、固い上に取り出しづらく手間だが岩手で常食されているという。子供が集め、親が割るなど仕込みは家族総出でかかる、甘さが魅力のごちそうだそうだ。だしは煮干しのみと相当あっさりしており、クルミの濃厚な甘さと対照的である。具材はにんじんごぼうだいこんに、軒に吊るして干した凍み豆腐、場所柄イクラも加わり、セリが風味づけとなる。

白味噌雑煮は奈良で広く食べられており、別添えはきなこでこちらも甘い。きなこは金をイメージしており、豊作祈願につながるという。白味噌も甘めだが、カツオを使わない昆布のみのだしがかなりさっぱりしており、なめらかで柔らかい味わいだ。具材は金時人参、細い雑煮大根、サトイモで、輪切りにして「円満」を表現しているそう。また豆腐など四角いものがひとつ入るのが決まりで、こちらは蔵をイメージして金運や豊作を祈願しているという。

熊本の雑煮の別添えは、なんと納豆。西日本、九州は納豆を食べないイメージがあるが、福岡・熊本・大分の県境が合わさる近く(大分の日田など)は納豆食文化なのだそうだ。しかもハレの食で、暮れに作って三が日などに食べるのが面白い。地域というか家というかでは、大根おろしも出すそうで、どちらも関東の人間としては普段使いの親しみやすさがある。

地域の食文化のさまざまな要素が含まれているのが、雑煮の面白いところ。次回もまた新たな地域への、雑煮での食の旅にお邪魔しよう。