ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

一献一品出合い酒@道後温泉

2014年02月24日 | ◆一献一品出合い酒
道後温泉本館隣の道後麦酒館にて、マドンナビール×久万こんにゃくの刺身。歴史を感じる湯殿の眺めを肴に飲むなら、ヘルシーな山の刺身に当地の名作にちなんだネーミングのビールの、このコンビが似合う。

雨の温泉街を小走りに抜けて、駆けつけに選ぶは地ビール醸造元自慢の一杯。アルトのダークな色としびれる苦味で、優雅な名に反して舌と喉に雷が立つ。鯛など海産物が豊かな地にて、選ぶ刺身はあえて山のフグ。シコシコの弾力にヒヤリとした瑞々しさが、鋭いビールのいい受け皿となる。マドンナを傾けて坊ちゃんの世界を思い浮かべつつ、赤シャツならぬ赤ら顔となりゆく一期一会。

粋な浴衣掛けで闊歩が似合う湯処ながら、降りしきる雨は一層強くなる。首に巻いた手拭いは湯浴みでなく、酔いの汗ばみを拭うばかり。外湯巡りへ行くつもりの腰も、一杯空けるごとに一層重くなっていく。一献一品の小さな酒宴、しとしとと天下泰平なり。

町で見つけたオモシロごはん…大地を守る会の有機無添加のカレーライス

2014年02月24日 | ◆町で見つけたオモシロごはん
昼にお邪魔した「大地を守る会のオーガニックフェスタ」で、有機食材や無添加食品をあれこれ調達した。この顔ぶれで狙う料理といえば、もちろんカレー。普段はスーパーの野菜コーナーでジャガタマニンをなるべく安く仕入れ、ルーも市販品を特売のタイミングでまとめ買いしたり。そんな家庭の定番料理を大地の食材で作ってみたら、味や印象がどのようになるのだろうか。

会場を巡りながら食材を調達していると、生産者の方と話し込み様々な背景が分かり、なかなか勉強になる。ニンジンは広島・世羅の寺岡農場産で、雪の下から掘るため甘みの強さが自慢とか。玉ねぎは沖縄・心花真南風の会産。温暖な気候のおかげで、日本でいちばん早い新タマネギという。沖縄はほかトマトやカボチャなども特産で、ゴーヤや島らっきょぐらいしか挙がらない印象を改めねば。ちょいと欧風に、山形舟形町産のマッシュルームもプラス。香りのいい茶色、味のいい白と迷った上で、食べ応えあるジャンボマッシュルームというのをチョイスしてみた。

米は熊本県産のミルキークィーン、さらにカレールーも無添加国産にこだわり、鳥取県境港にある大味研というメーカーのを試した。香料や化学調味料は使っておらず、黄色の素であるウコンも奄美大島産。素材の素性と生産者の顔がわかるもののみのルーなのである。

あいにくジャガイモはなかったので、最寄りスーパーの有機コーナーで調達。肉は普段使いの高座豚にして、いつものルーティンでテキパキ調理。包丁を入れると、玉ねぎは身が詰んでいてザクザク、ニンジンは固くバキバキと、何とも力強いこと。形もスーパーの規格品に比べて不揃いで切りづらいが、これが自然のままの姿なのだろう。

完成したのがこんな具合で、ルーやニンジンの鮮やかさがイマイチ、と感じる方もいるのでは。でも、今日のやまけんさんの話によると、彩度の高さは食欲を喚起するため人為的に添加でき、食材本来の色は割と薄くあっさりしているものだ、という。確かに常食できる料理のように、穏やかな印象も受ける。

味の方も同様に、とんがった刺激のない丸い食べごこちで、野菜の存在感がすごい。ニンジンの押し出しの強い甘さ、玉ネギのシャッキリ、トロリとした食感、まるでアワビのようなマッシュルームの香りと歯ごたえ。それをルーがまとめ込んでいる感じで、素材を食べているのが実感できる。日本のカレーは香辛料以上に、具が主役なのだな。

原価はいくらかかかるけど、「いいものは相応の値段がする」も納得。味以上に体へのインパクトの違いがありがたく、日々は大変ながら努めて良い食材を取ることの良さを、新たに認識した「普段使い」の晩御飯である。