ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

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2011年11月02日 | てくてくさんぽ・取材紀行

午後には三面川のサケ捕獲施設を訪れた。「ウライ」というこの施設、川の両岸を結んで鉄網のようなものを設けてサケが登れないようにし、両岸近くにそれぞれ設置された魚道の先の籠で、遡上するサケをすべて捕える仕組み。捕獲されたサケは隣接の孵化場へ運ばれ、採卵・受精されて放流できる大きさまで稚魚が育てられる。
 孵化場に隣接した直売所では捕獲・採卵されたサケが売られている。トロ箱に入ったサケは丸のまま売っており、5キロのサケが1400円、2・5キロでは700円と激安。卵をとったあとのサケかと思ったら、聞くと朝とれたオスとのこと。卵をとったサケは「ハラキリ」との呼び名で、なんと1匹で200円と値札にあった。遡上してくるサケはエネルギーを使い果たしているとはいえ、ちょっと安すぎか。


庄内村上てくてくさんぽ5

2011年11月02日 | てくてくさんぽ・取材紀行

イヨボヤ会館にはサケの生態観察室が二つあり、一つは人工河川、そしてもう一つは、なんと種川に直接建物を設置、水中に窓を設けて見られるようになっている。この時期は種川で、リアルに遡上しているサケをガラス越しに見られるというからすごい。
 そして運が良ければ、サケの産卵シーンも見られるとか。産卵の条件は川に栄養があり、湧水が湧き、底が砂利であること。種川はその条件を満たしている。サケはやや上流寄りにとどまっており、あいにく産卵は見られなかったがオスとメスが寄り添う様子は見られる。サケはなわばり意識が強く、見ているとメスをとられないよう攻撃している様子も。
 ちなみにオスは川に入ると鼻が曲がり荒々しい表情になり、メスは顔が丸くなるので見分けられるという。ブナの表皮のように体の色が変わったサケたち、ここまでの遡上まずはお疲れ様、である。


庄内村上てくてくさんぽ4

2011年11月02日 | てくてくさんぽ・取材紀行

取材の3日目は新潟県に入り、1日村上市を回った。村上の秋といえば、サケ。そこでサケづくしの視察を役場の方にお願いしておいた。まずはサケの資料館である「イヨボヤ会館」を訪れた。イヨボヤとは現地の言葉で「魚の中の魚」の意。捨てるところなく利用されるサケに対し、最上級の経緯を表している。
 村上はサケ養殖の歴史が古く、なんとカナダの140年前の江戸期から、三面川に人工河川の「種川」をひいて採卵・受精・放流を行っていた。遡上するサケの9割がこの人工繁殖で、毎年800万匹の稚魚を現在でも放流している。
 最初に見学したミニ孵化場は、サケ孵化層にトレイに受精した卵が、日にち別に並べられている。1月に入ってからややすると稚魚になり、この施設では毎年5万匹を4月上旬に放流しているという。
 実際の三面川では、冬に地下水が湧出する川床に産み付けられた卵から孵化、4センチほどになったところで川を下りはじめる。下りながら昆虫などの餌を食べ、それにより川の匂いを覚えていくという。海に出る前には河口のタブノキの林に潜むのだが、この林が水を蓄えて川に送るため、この水の匂いを記憶して戻ってくるという説もある。川の記憶イコール水の匂い。いい水でなければサケが戻ってこない由縁だ。


旅で出会ったローカルごはん…鶴岡『知憩庵』の、農家のおひるごはん

2011年11月02日 | ◆旅で出会ったローカルごはん

   2日目の鶴岡では、致道博物館の洋館群や荘内銀行創設の風間家の邸宅である丙申庵を拝観した後、クルマで20分の所にある「知憩庵」にて昼食となった。農家漁家お母さん100選の農家レストランで、普通の農家の座敷がそのまま食事どころになっている感じ。庭に面した広間ほか、囲炉裏がある間や6畳ほどの個室もある。

 料理はお昼は1200円で、その日の野菜によって内容は変わる。この日は前菜はズイキのごまだれにもって菊のおひたし、エゴマ豆腐。いずれもみずみずしく青臭さがない素直な味。菊の花のハーブのような香りが、食前に食欲が湧く。エゴマは海藻の豆腐で軽い粘りがある。煮物はカブとシメジのショウガ味で、カブは土の香りが控えめで筋が少なくほっこり、ねっとりしている。あんのショウガが香り高く、体によさそうな染みる味。

 続く膳はシソご飯にゴマ豆腐、味噌汁、サンマの梅干煮。ゴマ豆腐が普通のものに比べて色が濃く柔らかで、舌の上でトロトロにとろける。サンマは骨まで食べられる柔らかさで、唯一の肉魚系。ご飯と別に炊きたてご飯を冷ましてから握った塩むすびが、米の甘さを楽しめる。 

 店のお姉さんによると、うちは特に凝った料理はなく、あまりボリュームがないでしょう、と話す。が、自前の野菜づくしはお腹に優しく、料理も素朴な家庭の味でホッとする。「ごちそうづくし」の招待視察の中で、お腹に優しい料理である。