ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

2010年07月28日 | その他

  先ほどNHK-BSで当代一流の売れっ子たちによる歌番組が放送されていました。
  アイドル だったり、ロックだったり。
 でもどうしてこんな浅はかな、自慰行為のような歌ばかりなんでしょうか?
 
 じつはそのことは、ずいぶん昔から感じていた疑問です。
 私が幼いころ、ピンクレディーやら新御三家やらの歌が、しょっちゅうテレビから垂れ流されていました。
 同時に、貧乏くさい四畳半フォークだの、思想性があるという触れ込みのロックだのも。

 しかし私にはどれも、浅はかな自己憐憫にしか聞こえませんでした。

 それはきっと、レコードからCD、はてはインターネット配信と、大量の歌が、大勢に同時に聞かれるようになってからではないかと推測しています。

 つまり、歳月による審判を受けていないのですね。

 それらは時代をうまく捉えたのかもしれませんが、歌が持つ本質的な芸術性を獲得し得ていない、ということだと考えます。

 古来わが国では、歌といえば、和歌であり、それが連なった連歌などでした。
 それは短い定型詩であるがゆえ、多くの制約と約束事によって、いやでも言葉を選ぶことに慎重にならざるをえません。

 現代の流行歌にみられるような、あまりに直截的な表現、例えば好きだの愛してるだの、あるいはがんばれだのという努力を強いるような文言は、三十一文字の制約のなかでは、とても使えません。
 それを使えば、歌は徒らに下品になってしまいます。
 そこで、暗喩や、本歌取りのような高度な技巧が凝らされ、三十一文字はごくまれではありますが、珠玉の美しさを輝かせるのです。 

 正岡子規は古今や新古今のような技巧めいた歌を嫌い、「歌よみに与ふる書」の中で万葉調への回帰をうったえました。
 明治を迎えた新しい歌は、万葉とも新古今とも違うものになるのは必然で、そのような願望はむなしいばかりです。
 そして今では、自由詩ではなぜいけないのかと思ってしまう、ほとんどおふざけのように思える現代短歌が現れています。これらが時代の流れを生き残るのか、甚だ疑問です。

 さてそこで、現在テレビなどで垂れ流されている歌の問題は、高度な大衆化にあると思われ、これは修正不可能です。

 きっと浅はかに思われる現代の歌のなかにも、千年の風雪に耐えうる光り輝く珠玉の言葉が隠れていると信じましょう。

歌よみに与ふる書 (岩波文庫)
正岡 子規
岩波書店




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法務大臣

2010年07月28日 | 社会・政治
 これまで死刑執行を行わなかった千葉法務大臣が、今朝、二名の死刑囚の刑を執行させたそうですね。
 よく大臣の任期が終わりに近づくと、死刑が執行されると聞きますが、本当にそうですね。
 千葉法務大臣は先の参議院選挙で落選しており、9月の民主党代表選挙後の引退が確実です。

 死刑確定囚に死刑執行の命令を出すのは法治国家の担当大臣として当然ですが、麻生内閣の森法務大臣が飯塚事件の死刑囚の死刑執行を命じたのは、いやな感じです。

 飯塚事件は、再審で無罪となった足利事件と同じく、まだ技術的に未熟だった20年ほど前のDNA鑑定を証拠として、死刑判決が確定したものです。
 しかも、飯塚事件の死刑囚は、足利事件と違い、どんな取り調べを受けても、一貫して無罪を主張し続けた、とのことです。
 再審請求の準備中の出来事で、弁護士もショックでしばらく立ち直れなかったとか。
 今、死刑執行後ではありますが再び再審請求を行う準備中だそうです。
 仮に再審が認められたとしても、もう死刑は執行されてしまいましたし、なんとも空しいかぎりですね。

 この件については、国家公安委員長が「死刑執行は残念だ」と言ったり、鈴木新党大地代表が国会で質問したりして、政府が一致して国家権力を濫用した、ということではなさそうです。
 少なくとも、一部国会議員は、冤罪の可能性に言及しています。

 このような場合、法務大臣としては、職務だからと右から左に署名してはいけませんね。
 死刑執行は法務大臣が署名しなければ行えないわけですから、膨大な裁判資料を精査して、かけらも疑う余地はない、と確信してからでないと、取り返しのつかないことになります。

 世界の大勢は死刑廃止に動いていますね。
 日本では平安時代に事実上、死刑が停止されましたが、武士の世になってから今日まで、死刑は存続しています。
 多くの人の中には、矯正不可能な邪悪な人間も存在するでしょう。
  
 しかし終身刑を導入すれば社会的に抹殺することは可能なのですから、この際終身刑を導入し、死刑は廃止してはいかがでしょう?

元刑務官が明かす死刑のすべて
坂本 敏夫
文藝春秋

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プレイ

2010年07月28日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 昨夜はDVDで「プレイ」を観ました。
 舞台は現代日本の廃校ですが、そのテイストは、純日本風の怪談ですね。

 麻薬の売買をするための資金を得ようと、女の子を誘拐する男女。
 しかし、女の子の家に電話をかけると、娘は一年前に亡くなった、と言われます。
 ではこの少女はいったい何者か

 母校でもある廃校で、怨みを残して死んだ者、生者を温かく見守る霊、怯える誘拐犯とその一味が織りなす浪漫的恐怖物語。
 誘拐犯同士の裏切り。男女関係のもつれ。
 複雑な要素が混ざり合って、物語は盛り上がっていきます。

 ホラーファンには抑えた演出が物足りないかもしれませんが、血がやたらと出て、むやみに人が死ぬハリウッドのホラーに食傷気味だった私には、ちょうど良い味わいでした。

プレイ/pray [DVD]
小川智子
ポニーキャニオン

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ピースボート

2010年07月28日 | 社会・政治
 辻元議員が社民党を離党したそうですね。

 辻元議員といえば、ピースボートを早大在学中に立ち上げた左派の論客というイメージが強いですね。
 野党時代、自民党の大物を激しく責める姿をよく国会中継で見ました。

 それなのに、与党になって、しかも国土交通副大臣として閣内に入ったせいで、与党の旨味と面白味を味わっちゃったのでしょうか。

 オフィシャルブログで、「現実との格闘から逃げずに国民のための仕事を一つずつ進めていきたい」と語っていました。

 当たり前だろ、と突っ込みたくなりましたが、鳩山前総理も「勉強すればするほど沖縄の米軍基地が大事だとわかった」と言っていましたから、与党になって初めて気づくことも多いのかな、と納得してみたり。

 無所属で活動するとは言っていましたが、社民党が政権離脱したことが離党の理由だそうですから、近いうちに民主党入りするんでしょうね。
 あのヒステリックな辻元節が聞けなくなるかと思うと残念です。
 しかし政権与党のなかで仕事をしたい、ということですから、これまでの、議論すら許さない頑なな護憲思想や、外交・安保音痴は改めていただかなければなりますまい。
 
 そうじゃないと、選挙に落ちちゃうよ。

 落ちたら、内縁関係にある元日本赤軍の男と、昔懐かしいピースボートで地球一周を楽しみなさい。

へこたれへん。
辻元 清美
角川書店

なんでやねん
辻元 清美
第三書館


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