六本木の国立新美術館に「シュールレアリスム展」を観にいきました。
関東の国立博物館・美術館が震災の影響で軒並み休館しているなか、根性の営業です。
客の入りもまずまず、といったところでしょうか。
シュールレアリスムというと、アンドレ・ブルトンの「シュールレアリスム宣言」が有名ですが、彼の小説は面白くありません。
自動筆記や、多数の作家が一単語か二単語ずつ書き綴っていくとか、実験的な手法を試みましたが、どれも成功したとは言いがたいように思います。
甘美な死は、新しい、ワインを、飲む。
というのがその一例です。
それに比べて、後にシュールレアリスムから離れていくことになるダリやピカソの絵は、永遠の命を得たと言っても過言ではないと思います。
シュールレアリスム運動から離れていった多くの芸術家が、アンドレ・ブルトンとの不仲によるものだった、と言われていますが、偉大な理論家は平凡な実作者に過ぎず、さらには無能な鑑賞者であったのだろうと推測します。
観るものを挑発するような不可思議な抽象絵画ばかりを集めた展覧会。
インパクトは十分でしたが、こちらの精神的エネルギーを害されたようで、少々疲れました。
その中で、私が気に入ったルーマニアのヴィクトル・ブローネルという画家の絵を二点。
絵葉書を購入し、それを写真で撮ったものです。
前衛的でありながらどこかユーモラスで、激しい絵ばかりの展覧会にあって、異彩を放っていました。
![]() |
ヴィクトル・ブローネル―燐光するイメージ (シュルレアリスムの25時) |
齊藤 哲也 | |
水声社 |
![]() |
シュルレアリスム宣言・溶ける魚 (岩波文庫) |
Andre Breton,巖谷 國士 | |
岩波書店 |