立川談志師匠が亡くなりましたねぇ。
永遠に死なないんじゃないかと思わせる図々しさと毒舌が売りでした。
あまりの天才ぶりに、先代林家正蔵師匠は、立川談志師匠がまだ40代の頃、「あいつは自殺するんじゃねぇか」なんて言っていましたっけ。
やることなすこと当たるので、世の中がつまらなくなってしまうのではないか、と心配したようです。
で、生前、某ラジオ番組で「墓も、お経もいらねぇ。戒名も戒名代がもったいないから自分で決める、できれば病名は“ふとした病”がいいな」なんて言っていて、立川雲黒斎(うんこくさい)家元勝手居士、などとふざけた戒名を自分でつけてしまいました。
最後まで人を食った感じが噺家らしいですねぇ。
しかしこの人、いわゆる噺家らしい噺家ではありませんでした。
国会議員になったり、大学で落語と文化について教えたり、社会的な発言が多く、しかも自分の師匠、柳家小さん師匠が会長を務める落語協会を、自分の弟子を真打ちにしなかったことを理由に脱会、立川流家元を名乗るようになりました。
日本の落語会を引っ張ってきた先代三遊亭円楽師匠に続いて立川談志師匠まで亡くなって、落語界はしばし虚脱状態です。
落語は人間の業を認める芸だ、と談志師匠は言っていました。
人間の業も悪も何もかも認めながら笑い飛ばす、人一人が何もない舞台に座って語って聞かせる、世界に例の無いシンプルな芸です。
物事を削ぎ落して余計なものが一切なくなった状態を良しとするのは、わが国の文化に共通するものですね。
新たな華のある噺家が待たれます。
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