ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

私が先生を殺した

2024年07月22日 | 文学

 今夜ミステリーを読みました。
 テンポが良くて物語が疾走する快感に心奪われ、400頁を一気読みしてしまいました。
 読んだのは「私が先生を殺した」です。

 物語の冒頭、ある私立高校の避難訓練で校庭に全校生徒が集まる中、27歳の人気教師が屋上から飛び降り自殺します。

 一体何があったのか。

 物語は語り手が次々と変わり、それぞれの視点から事件に関する一部が語られます。
 このあたり、湊かなえの「告白」との類似を感じさせます。

 

 語り手が変われば物語が多重的になっていくというのは、芥川龍之介の名作「藪の中」でよく示されています。

 そのため、この手法は時折見かけますが、「私が先生を殺した」では、物語が多重的になるかと思いきや、最後の語り手である自殺した人気教師によって、怖ろしい真実と切ない自殺動機が語られ、一つに収斂していくという、エンターテイメントらしい分かりやすい結末が待っています。

 久しぶりに平易で抜群に面白いエンターテイメントに接することが出来たのは私にとって幸いでした。
 桜井美奈という作家の小説を読むのは初めてですが、またいくつか読んでみたいと思います。
  

 


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 他人事 | トップ | ドグマチール »
最新の画像もっと見る

文学」カテゴリの最新記事