ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

湖の女たち

2024年04月29日 | 文学

 昨夜は吉田修一の「湖の女たち」という小説を読みました。
 吉田修一といえば、芥川賞受賞作「パーク・ライフ」が非常に印象に残っていますが、なぜかその後この作者の小説を読むことはありませんでした。

 この小説、文庫本で400頁足らずですが、とにかく登場人物が多い。
 あまりにも多いので、相関図のような物を作ってしまいました。
 そうでないと混乱するからです。

 この小説では湖と言えば琵琶湖と戦前の満州国に作られた人造湖、平房湖を指しています。
 琵琶湖のほとりに建つ老人ホームでの事件とも事故ともつかない老人の死から物語は始まります。

 真相を追う刑事と施設で働く介護師との異常な性的関係、平房湖で起きた少年と少女の死、それらが複雑に絡み合って、ついには老人の死は731部隊の蛮行にまで繋がっていることが示唆されます。
 しかし、全ては示唆であって、真実とも虚構とも語られません。

 複雑な物語で、しかも読後感は最悪。
 嫌な気分にさせらてしまい、しかも逆説的ですが、それが心地よいあたり、いわゆるイヤミスに近いのかもしれません。

 

 

 


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