ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

いない幸せ

2021年11月06日 | 散歩・旅行

 今日は愛車の法定点検のため、ディーラーに車を持ち込みました。
 朝10時。
 90分くらいかかるとのことで、陽当たりの良い場所で椅子に座っていたら、眠ってしまいました。
 起きたらもう11時を過ぎていて、じきに点検は終わりました。
 どこも悪い所は無いとのこと。
 エンジンオイルの交換とタイヤのローテーションをやってくれました。

 そのまま帰るのももったいないけれど、遠くに行くのは億劫だし、まだコロナが怖いしということで、千葉市の中心街に車をとめ、秋の一日、散歩を楽しみました。

 千葉神社に立ち寄ると、七五三を祝う多くの子供たちとその親や祖父母があふれていました。
 眩しい光景です。

 私の年齢だと、おじいちゃんになっちゃうんでしょうか。
 若いつもりが確実に年を取っています。

 この時期、七五三を見るにつけ、私たち夫婦に子供が授からなかったことは良いことだったのか悪いことだったのかを考えます。

 私が28歳、同居人が29歳の時に、入籍し、儀式をし、宴を催しました。
 平凡で馬鹿々々しい、とその時は思って、半ば義務感でそれらをこなしましたが、今となっては輝かしい思い出です。

 新婚の頃は、なんとなく、そのうち子供を授かるんだろうなと思っていましたが、いつまで経っても子供は出来ず、子供を望んでいた同居人が、幼子を連れた若い夫婦を見て涙ぐむにおよび、不妊治療を開始しました。
 しかし何をやってもダメで、30代も後半になって、二人で生きていこうと、治療を止めました。

 大金をドブに捨てたとは思いません。
 二人だけで生きていく覚悟を買ったのだと思っています。

 私には一つ年上の兄がいますが、すでに孫が二人います。
 
 そのことを考えても、じつに長い年月、私と同居人は二人だけで過ごしてしまったのだなと感慨を覚えます。

 世間の人は、「結婚はまだなの?」と人生の墓場行きを勧め、やむなく結婚すると、「赤ちゃんはまだなの?」と、純粋で残酷な言葉を吐き散らします。

 同居人はそういった不躾な言葉を聞くたびに、深く傷ついていました。

 普通は金のことを言う言葉なのでしょうが、持てる者と持たざる者、おのずと考えは異なるのでしょうね。

 子供のいる幸せ、いない幸せ。
 私たちはいない幸せを追い求めるしかありませんし、そうしてきました。

 今頃になってやっと、同居人は名前も知らない他人の子供が七五三を祝う姿を見て、笑顔を見せるようになりました。
 その笑顔はとても美しいと、いい年をしたおじさんは思います。


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