ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

次回公演に課題をもらう、って嬉しい!『ニャン婆と時之助』

2017-10-01 07:50:18 | 菜の花座

 こんなに最後まで悪あがきした公演って珍しい。本番当日は朝一から装置の手直し、グレー一色の布蹴込みに変化をつけるべく何枚も端切れを垂らしてみたり、結局外した、飾り石を台上に移動してみたり、と、様々工夫を試みた。照明も明かりが切れる部分をこまめにつぶし、シーンの明かりも幾つも直しを入れた。

 10時半から始めたリハーサルじゃ、音響や照明との合わせを中心に危ないシーンや場転を徹底的に繰り返し。なんせ、照明も音響もシニア演劇学校の卒業生で初の担当なんだもの、失敗して当然、本番前に何度失敗してもらえるか、そこが勝負ってもんだ。

 午後になって、ようやく主役の時之助が会場入り、食事して衣装つけてメイクして、ようやくゲネが始まったのは2時前。前日1/3までで打ち切りになっていたゲネの続きを続行。予定ではさらにもう一度ゲネ、と締め上げるつもりだったが、残された時間は1時間半、仕方ねぇ、中抜きしながら不満シーンだけをチェックするお得意の中抜きゲネ?最後の最後までもがき続けた。

 さて、出来だ。これは好対照だったなぁ。盛り上がりに欠ける前半と一気に客席をとらえられた後半と、実にはっきりしていた。なんだって、こんな違いが生まれたのか?よくよく考えてみる必要があるが、一つは、ストーリー展開に変化が乏しかったこと。これは後半の布石なんでどうしても避けて通れないんだが、余計な蘊蓄、説明が長過ぎたってことも大きい。その冗長な部分を笑いでしのごうとしたのだが、それがことごとく不発。いや、つかみのニャン婆、ワン婆は上手く行ったのだが、その後が完全に失墜このどっちらけが大きく場を湿らせてしまったようだ。

 後半は、ちょっとしたギャグやセリフにも笑いが巻き起こり、観客がのめり込んで行っているのがわかった。そのきかっけは、やはり、黒猫スピネルの登場だった。「黒猫のタンゴ」のダンスでの登場、拍手が巻き起こったもの。つけてもらった振りも良かったし、明かりも絶妙だった。そして、何より役者が最高の動きを披露してくれた。

 ここから、話も分かりやすくなり、前半のラストはスピネルの化け猫への変身と身投げ?で終わった、これが後半、興味を引き付けたのだろう。途中休憩後はお客さん、待ってました、って感じで乗ってきてくれた。話もネコの去勢の話しになり、考える対象が明確になったし、それが時之助のコミカルな演技で押しつけがましさなく提示できたってことが大きい。もちろん、役者も観客の声援を受けて、演技に命が吹きこまれていたしね。大きな拍手で幕を下ろすことができた。

 解決するべき課題をいっぱいもらった。台本の手直し、これは前半のダラダラ部分を思い切って刈り込んで20分の短縮を目指す。そう、休憩込み2時間10分の見込みが15分もオーバーしてしまったもの。役者の演技も後半のようなメリハリとテンポの良さが必要だ。笑いがとれなかったシーンは特に演出も役者も頑張る必要があるな。装置も、上手家屋のリアルさと中心部分の小山と祠の抽象性がバランスを欠いていた。小山の壁に葛の葉を這わせるとか、大きく空いた空空間を樹木でつぶすとかもやって行かにゃならんかな。

 でも、一番の課題は歌と踊りだ。後列のシニア連は目をつぶるとしても、前列の若手にはもっとしっかり踊ってもらわにゃならん。それと歌、これはもう耳を覆いたくなるほどのひどい出来だった。歌う基本訓練ができていない上に激しく動きながらなわけだから、歌詞は不明瞭、息は途切れ途切れ、表現力などさらさらなし。見に来てくれた合唱指導者も率直にダメだししてくれた。バウンダリーマイクで声を拾うようになって粗が見えやすくなっちまったってことも大きい。

 いずれにしても、たくさんの課題を背負わされた。でも、この芝居、次回がある。次々回がある。秋田三種町公演、川西中学校全校芸術鑑賞。リターンマッチが組まれてる。もらった課題を一つ一つこなして行こう、もっともっと、面白い舞台になるように。

 次がある、課題に取り組める、ってなんと幸せなことじゃないか。

 

 

 

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