ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

殺陣がヤバイ!

2016-12-18 09:32:19 | 演劇

 ヤバイ!今風の意味でなく、ヤバイ!そう、ピンチ!殺陣にこんなに手こずるなんて思ってもみなかった。

 だって、若い奴らじゃないんだから。時代劇見て、チャンバラごっこして育った世代のはずだろ。カッコいい立ち回りなんて、教わらなくたって、イメージに擦り込まれてるって思うじゃないか。剣の構え方だって、知らず知らず身についてるはずじゃないのか?

 もう、かなりの時間を殺陣の稽古に費やしている。稽古日となれば、最初の1時間くらいは、誰かしら模擬刀を振り回している。前回の稽古には居合道の師範で殺陣についても教えておられる先生をお招きして指導していただいた。いや、すでに2回目の指南なんだ。なのに、・・・・

 様にならない。そんな気の抜けた殺陣じゃ笑われるぜ。切り合いのツボが掴めていないし、全然カッコよくないもん。しかも、打ち合わせた動きをすぐに忘れるって、どういうことよ。ご指導の先生の名前をチラシに載せてるんだ、これじゃ失礼ってもんだろ。とても穏やかな人柄の良いお方だから、やさしく見守ってくれているが、内心、こりゃ困った、これで殺陣指導と銘打たれちゃたまらん、って気が気じゃないんじゃないか。

 剣道段位、お情け3段、おまけで4段の僕だけど、やっぱり10年間竹刀を振り続けた経験はそこそこ生きていて、間合いであったり、剣先であったり、足の運びであったり、そりゃ、こうしなくっちゃダメでしょ、てのが無意識に浮かんで来る。だから、演じる役者たちの動きが何から何まで気に食わない。ええーい、俺がやってやるわ!っと飛び出したくなるのを必死で堪えている。頼む、もちっと、なんとかしてよ!

 殺陣と剣道は違う。殺陣のような軽業で人は切れない。それはその通り。だからって、なんでもありってことにゃならない。ここだけは、って押さえどころは間違いなくある。そのポイントが美しさにも直結している。そこんとこがピンと来ないらしい。どう構えたら、どう打ち込んだら、どう捌いたら、どう切ったら、かっこいいか!って殺陣の狙いが頭でも体でもつかめてないっとことだ。

 これは思いも掛けぬ難題を背負いこんでしまったな。まさか、立ち回りなしの大衆演劇ってわけにゃいかんし。

 ここにも文化の断絶があった。簡単に人切ったり、己の腹搔っ捌いたりの武士道は受け継ぎたくはない伝統だけど、剣にまつわる心構えや仕草、立ち居振る舞いの美しさなんかは、その他の伝統芸能、にも通じるものが多々ある。たかが、チャンバラ、たかが殺陣、でも、そこにゃ日本人が憧れ続け、無意識に伝え続けた日本的良きものがいっぱい詰まってるって思うんだよね。

コメント
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