長井フルマラソン、劇症痙攣との苦闘、続編だ。写真はスタート前。530人と小振りな大会、どこか長閑だ。ハーフの大会と違って、流行のタイツを履いていない人の割合が多い。
足が攣る、誰でも一度や二度の経験はあるに違いない。よくあるのがふくらはぎ、収縮した筋肉が通常より膝の方につり上がった状態で固まったりする。足指の痙攣もけっこうある。これも指先があらぬ彼方に曲がったまま動かなくなる。
劇症痙攣だとどうなるか?筋肉が猛烈に収縮し、足が凹むのだ。今回の例で言うと、右太ももの前部筋肉、大腿四頭筋てやつが一気に縮み上がって容積が急減し、皮膚はなんとたるんでしわしわになってしまう。写真、撮れなかった!残念。でも、発症時、そんなこと思うわけもない。我が足のあまりの変容に、空恐ろしささえ感じたほどだった。このまま収縮が続いたらどうしよう?この収縮で筋肉は傷ついてしまうんじゃないか?
しかも、今回は一気に両足すべてに被害が拡大してしまったのだ。これには本当に困った。それでも瞬間冷却スプレーでの緊急治療が効を奏して走り通せたことは前回書いた。しかし、縮み込んだ筋肉を冷やすのが適切な処理なのか、そのときも、レース後も頭を離れなかった。
で、ネットで調べてみたら、いるいる、同じような状況でスプレーで救われた人かなりいるようなんだなぁ。お勧めの冷却剤は何か?なんて不用意にも質問している人がいて、優しくあれこれ答えてくれる回答者もないわけじゃないが、概してみな冷たい。まず、専門家は完全に否定的、痙攣を冷やすなど言語道断!てけんもほろろだ。中にははり治療の専門家なんかもいて、ベストははり打ちだって書いてあったのには驚いた。その人、実際レースにはりを一本持参するってことだ。まさか、コントで適当に書いたはり治療が効果的とは思わなかった。
要するに、痙攣に冷却スプレーはあり得ない、これが専門家の答えだったわけだが、今回は明らかに効いたし、他にも効果があった人が多数いるということは、「攣ったらスプレー!」てのは、プロが認めない民間伝承療法みたいなもんだと納得した。
そして、必ず付け加えられていたのが、練習不足!という冷たいが適切な一言!そりゃそうなんです、ごめんなさい、って謝るしかない。フルマラソン走るレベルに達していない!なんて厳しいご指摘もおっしゃる通りにございます、ははーっ!て土下座してしまったが、くそっ!今に見ていろ!とも思い、そこまで言うか?とも思い、複雑に心はよじれた。
レース終わって、そろそろ歩きで完走賞と飲み物をもらい、やっこらしょと腰を下ろしたら、ああっ、ヤバヤバ!足攣る!両足投げだしたまま、まったく動けない!どうにか動く上半身でペットボトルのお茶だけは飲めるが、後はひたすら姿勢を変えることなく座り続けるのみ。ゆっくりとマッサージしながら待つこと15分、普通に立ち上がるなんてとてもできず、まず、足を投げ出したまま後ろ向きになって、腕で上半身を持ち上げて体重を動かぬ両足の上に移動、どうにか立ちあがり、またもやそろそろ歩きで控え室へ。
く、く、靴の紐がほどけない。だってしゃがめないから。でも、なんとか壁に体重をもたれかけながら危機を脱出!部屋に入って荷物の横に倒れ込むように座ったら、またもや、激痛!座った時のへんてこな姿勢のまま、ここでもまた、20分!周りのランナーに気付かれぬよう、顔色変えず痛みを堪えるこの辛さ。なんとか着替えを終えて会場を後にしたのは、ゴールから1時間も経った後だった。
お陰で、楽しみにしていた南陽葵ラーメンは昼営業時間に間に合わず、かといって腹は空くし、ラーメンは食いたいし、結局、赤湯の幸楽苑、ってどこまでも、とほほのレース後ご褒美だった。