ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

共生ばかりが生き方か?

2015-10-03 09:16:05 | 農業

 雑草ってヤツは、ほんと、もう、手に負えない。その傍若無人さ、その逞しさ、その成長力。どれをとっても作物をはるかに凌駕する。だから、農業は雑草との戦いになる。

 化学的手段に頼らず戦うなら、刈るか取るかしかない。雑草とて若々しい頃はか弱いものだから、芽が出た直後を襲えば、比較的楽に勝利を納めることができる。しかし、ついうっかり、とか、わかっちゃいるけど、とか、まさか、なんてこちらの落ち度で時期を失すると、ヤツらは一気に増長し、畑を全面占拠する。

 それでも、まあ、か弱い庇護植物=作物を全面的に駆逐するということは希で、追いやられ、虐げられつつも、細々と生きながらえているのが普通だ。これをしも共生と言えば言えないこともない。

 そこで、カナムグラの話しだ。とげとげの茎をするすると伸ばし、あっという間に地面を覆っていくあの難敵だ。ともかく日に当たるのが好きで、ものがあればそれを覆い、植物が生えていればそれを乗り越えて、どこまどもどこまでも勢力を伸張しいく。その進軍速度は驚くほどで、気がつけば、畑全面、カナムグラに占領されていたなんてことも多々ある。

 夏場からこっち、イチゴ畑は気になりつつも手が回らず、いつか取らねば、早く雑草と対峙せねばと思いつつも、放棄した状態が続いていた。中央部には背の高いアオビユがニョキリニョキリと顔を覗かせ、地表近くにはヨモギやスギナ、そして、手前側、イチゴが一番元気に育っている場所には、なんと、カナムグラ!グングンと勢いを増し、イチゴの上を覆っていく。

 覆い被されて苦しいだろうが、イチゴたちだって生きねばならぬ、けっこう逞しい彼らのことだ、ひょろひょろになっても生きながらえているだろう。カナムグラどもを取り除いてやれば、また元気を取り戻してくれるだろうって思いもあって、カナムグラ掃討作戦が遅くなっていた。

 稲刈りも一段落し、おお、そうだ!イチゴ畑の奪還だ、とカナムグラを引っぺがしに掛かった。カナムグラとの戦いにはゴム手袋と長袖シャツが欠かせない。茎のとげとげが悪質で、柔な肌など擦り傷だらけにしてしまう。しかも、なぜかやたらとまつわりつくので手に負えない。なんか自分の意志と行動力で反撃してくるようにさえ感じる不気味さだ。 

 鎌を片手にはぎ取り切り刻み、押しのけ追いやりして、ようやくカナムグラを追っ払うことができた。と、なんとそこには、イチゴのイの字もないではないか!枯れた葉っぱもなければ、息絶え絶えの茎や根さえも残っていない。むろん、その他の生命も存在しない。きれいさっぱり地面。なんと、カナムグラ、完全制圧していたのだった。

 こういうことってあるんだ。植物と植物の間が、お互い棲み分けてどちらも長らえましょ、みたいな共生関係だけでないことは知っていた。寄生植物ってのもあるし、勢力の違いで隅においやられるってことだってある。でも、ここまで根絶やししてしまうとは、想像を絶する事態だった。あれだけの生命力があるんだ、覆った植物を絶滅させなくたって、十分に繁栄を続けることはできるはずなのに、これは明らかに無益な殺生ってもんじゃないか!人間ならいざ知らず、植物がそんな荒々しさを原理に生きているとは、知らなかった。ちょっとショックだった。

 共生ばかりが生き様じゃない、でも、でも、でも、と思い悩むこちらは、軟弱なイチゴ人間なのか?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする