
9月14日、阪神タイガースが18年ぶりにセリーグを制覇した。
今年は最初から安定して強かったため「優勝するんだろうな」という感覚は早い段階であったが、実際に確定事項となった時にはやはり嬉しかった。
防御率は唯一2点台という安定した投手陣はここ数年と変わらないが、攻撃面では飛び抜けた成績の選手はいない。
しかし、徹底的に相手投手に多く投げさせる打席を重ねて四球も大幅に増えたし、これまた大きく増えた犠打も含めて各選手がそれぞれの役割をしっかりこなすつなぎの野球を続けた結果、広島東洋カープ以下を大きく突き放すことになった。
派手な数字が並ぶチームは当然強いが、地味な戦い方に徹してなおぶっちぎりで優勝してしまうのは、攻守にわたっての判断が優れ要所で効率よく得点できていたことの証明だろう。
18年も待たされていたという実感は個人的にはあまりない。
この18年の間には、人生の転機(職種の転換)もあったし、その中でも不安定であったり一時は健康面で危険な時期もあったりで、自分の生活の中でいろいろと動きがあったので、ひいきの球団の成績をじっくり眺めている余裕はなかったのである。
現状から言えば、働いてはいても「不安定」とされるいわゆる非正規という立場からは脱した。
もちろん、このご時世正社員だから絶対安心などとは毛頭思ってはいないが、都会ほど自由な働き方に対する認識が浸透していない田舎ではとりわけ周囲の安心という意味でも正社員でいることのメリットは大きい。
文系で高校大学と経て社会に出るとなると、メディア関係や士業といった専門的な仕事を除けば営業や販売といった対人の職種が選択の対象にはなりやすい。
私もその線で就職活動をして社会に出て行ったわけだが、対人交渉というのは「他人の感情を揺さぶる」必要が生じることから、幼少時より感情の機微を学ばないまま育った私には苦痛しかない状況が長らく続き、ついには体を壊して自動的に退場を余儀なくされることになった。
今のような物流や倉庫作業といった業種を学生生徒の段階で選ぶことは難しかったが、今はフォークリフトを中心に自ら身につけた技能を生かし、また幸い集中力に関しては他人よりも長けているために、自分が思っている以上に成果を出すことができるのは幸せなことである。
また仕事中に他人様から「楽しそう」とか、早い段階から「何年も前からいる人みたいだ」という言葉をいただけることは、他の業種で働いていた時には全くなかった。
他人様から見ても、今の職種が「ハマっている」ということだと思うからだ。
業種のご多分にもれず、今の現場も50代前半の私が全然若手になるほど高齢化している。
年齢的に正社員という立場ではない方々も多い中、いちおうは正規雇用として入ったので高齢の皆さんよりは仕事に関しては厳しい言葉が飛んでくる。
全然若くないのに若手だし、将来的には事務方に入って在庫管理に回ることもあり得る立場なので、その時はムカッときても将来に期待をしてもらっていると思い直して日々を送っている。
あまりいい思い出がなかった前職だが、今の現場には前職の最初に仕事を教えてくれた言わば恩人とも言える方と再び同じ職場で働いていることもあり(その方がいるから応募したと言ってもいい)、イヤなことがあってもその方だけは裏切れないと思えるから、体が許す限りは長く今の現場にいたいと思うのだ。
2023年は体は一貫して健康なのだが、思わぬブランク期間が生じて完璧な一年とすることはできない。
しかし、今のような恵まれた環境に当たって、おまけにヒイキ球団が優勝までしてくれたので、このまま体に気をつけて走りきれば、一年通じては大いによかったと振り返ることができるだろう。