blog Donbiki-Style

筆者:どんびき(地域によりカエルの意)

お客様は神様です?

2021-03-17 09:00:52 | 日記
お客様は神様です、は我が国でもっとも誤解されている言葉と言っていいだろう。
この言葉を発したとされる歌手の三波春夫さん(故人)の公式HPを拝見したことがある。
その中で、わざわざ「お客様は神様です」の意味について綴られている箇所がある。
要約すれば、三波さんは歌い手としてお客様は神様である、との思いを持ってステージに臨まれていたということである。
こんなことを言葉の発信源から言わなくてはいけないということは、多くの日本人が持つ「客なら何を言ってもいい、何をやってもいい」との勘違いを憂えたものであるとの解釈が成り立つ。

元来、店舗等のサービス提供者と顧客の立場は対等であって、提供する用役・役務に対価を支払うという単純なものだ。
100円のパンを持ってこられれば100円をいただいてお返しする、それだけのことである。
だが本来提供されるべきもの以上の、おしぼりだとか箸だとかアタタメだとかは店舗が無償で提供しており値段には含まれないから、この時点で値段以上のものを提供していることになる。
その意味すら分からず、これらのものが出てこないだとか意思確認がないからといって怒って「サービスが悪い」などと言い出す向きは多いし、ましてや愛想が悪いなどというのは完全に無理筋だ。
私は海外経験はほとんどないが、海外ではスマホをいじりながらレジをする店員など珍しくなく、我が国のサービスに慣れきった日本人は海外では行く店行く店で怒ってばかりになるかもしれない。
我が国では、本来提供されるべき役務を越えた「無料の何か」がサービス、と完全に誤解されていて、本来感謝されるべき店員が多くの場面で罵倒の対象になってしまう現状がある。

私は、今は違うが長らくヨーロッパ車を愛用していて、率直に感じたのは「客にまったく媚びていない」ということである。
信頼あるメーカーとして当然真面目に生産しているのは洋の東西を問わないが、いい意味で「作ったのはこちら、選ぶのはお客」という割り切りができているのは海外勢である。
日本車のCMを見るとやたらと「使い勝手」ばかりが喧伝されるし、内装もいわゆる至れり尽くせりで、どうしたって客に媚びすぎでない?と感じる場面は少なくない。
私が長く乗っていたプジョー206には、カップホルダーさえ付いていなかった。
走行中に飲食するのが違法になるフランスだからこそだが、日本車にない不便さを楽しめたことはいい経験になっている。

「神様」の話題に戻ると、では百歩譲ってお客様は全員神様だとしよう。
しかし、その中には素晴らしい神様もいれば、死神や貧乏神、疫病神などもいるということだ。
ある日には、買ってしまった直後の杏仁豆腐を店内にこぼしてしまい、いかにも替えを持ってきてほしそうな表情をした高校生くらいの男の子がいたが、当然ながら支払い後の商品には店には責任はないのでお断りしたところ、イライラした様子で「片付けだけやっとけや」などとタメ口で言ってきたので、彼を含む家族連れと相当の時間バトルすることになった。
いかにお客といえども、こういうゴロツキ同然の悪質なものは体を張ってでも排除していいし、そうするのが長期的には店を守ることにつながる。
死神や貧乏神、疫病神あたりは、いらない神様として勇気を持って店から叩き出すくらいの気持ちでありたい。
もはや日本的サービスの代表選手とも言えるCVSは、何でも店員がやってくれる場所と勘違いしている甘ったれの巣窟となっていて、押し込むように家庭ゴミを捨て、店頭で威張り散らし、好きなだけ雑誌を立ち読みし、イートインスペースで受験勉強をするような大馬鹿たちが毎日やってくるのだ。

個人的には、CVSの24時間営業もそろそろ持たないと思っている。
私の時間帯は、当然朝のピークに向けての準備というのがあるにはあるが、必ずしも開店したままでやらなくてはいけないことはない。
深夜の売り上げなど昼間に対しては微々たるもので、収益だけ取れば大赤字であろう。
漁業など、クセのある人間が多い業種の客が多いという事情を割り引いても、深夜帯はどちらかというとよろしくない神様が多い。
職業上の理由もなく深夜にわざわざガソリンをまいて店舗を訪れる深夜帯の客は言うなれば「我慢ができない」層であり、一言で言ってろくなものではない。
売り上げを拾うにはあまりにも小さく、店員の気苦労も多い。
深夜帯の店員が定着しない全国的な傾向を考えても正直無駄だ。
自宅の近隣には、違うチェーンながら7時から24時というCVS店舗も実際ある。
ウチの経営は複数の店舗を持っているのだから、どこかで実験的に時短を試すこともできるだろう。

いつも書いていることだが、自分が客としての立場になったとき、かりそめにも死神や貧乏神や疫病神などと言われないような振る舞いを常に意識していきたい。


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