blog Donbiki-Style

筆者:どんびき(地域によりカエルの意)

てんとう虫

2010-02-01 18:29:36 | 日記
自宅の蛍光灯の近くに1匹のてんとう虫がとまっていた。
ずいぶん長い間我が家に住み着いていたと思われる。
実は1度姿を現して、捕まえようとしたのだが、羽を開いてどこかに飛んでしまってそのまま見失っていた。

今日、部屋で横になっていたら明らかに天井で動くものが見えるので確認したら、そのてんとう虫だった。
エサもないところに長い時間いたためか、羽を広げようとはするものの、飛ぶ体力はなさそうに見えた。
かろうじて動くことがまだできていたので、食べ物もない我が家ではなく、近くの土があるところに逃がした。
この寒空の下、望むものにありつけるかは分からないが、人間の家にいても栄養を取れることはない。
てんとう虫が主に何を食すのかは知らないが、少なくとも自然に帰せば何がしかはあるだろう。
群れや家族を作る習慣があるのかはともかく、たった1匹で長い間何も食べず息も絶え絶えという状態を放置しておくことはできなかった。

虫といえば、時々クルマの中に迷い込んでいたり、外のガラスに張り付いていたりする。
たいがいはクルマで動いているときに気づくことになるので、虫がそれまで生活していたところから数十キロも離れたところまで連れて行ってしまうことになる。
虫にも仲間や家族がいるだろうから、何となく複雑な気持ちになってしまう。
自然の中で生きている彼らだから、何とかしてしまうのかもしれないが。

昨日のNHKスペシャルは「無縁死」がテーマだった。
身元不明、家族が遺骨を引き取らないケースなど、無縁死と呼ばれる方が2008年だけで3万2千人にもなるとのことだった。
ある時点までごくごく普通に生きてきた方が、何かのきっかけで社会とのつながりを失い、孤独を深め、誰にも気づかれないで死んでいっている。
また、身寄りのない中高年の方が生前のうちに死後の処理について相談するため、専門のNPOに駆け込む件数が急増しているというレポートもあった。

残念ながら無縁死をされる方々の多くが不安定な労働環境にあるという話もあり、とても他人事とは思えなかった。
私自身は、現状では家族や社会とのつながりを失っているとは思わないし、外との関わりを拒むような心境にもなっていない。
ただ、親もだんだん年をとっていき、兄にしても妹にしても自分の家族のことで精一杯だろう。
このまま仕事に恵まれなければ、当然収入はなく、生活は困窮する。
私自身も「無縁死予備軍」になっていくのかもしれないと思うと、画面を見ていて背筋が寒くなった。
虫のことより自分のことを心配しなくてはいけないのだ。

番組のエンディングでの「安心して死ぬこともできない社会」というメッセージが重く響いた。
「こんな社会に誰が・・・」とは言わない。
他人のせいにしていては進歩がないからである。