スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ピンクタートル&非理性的動物

2021-07-07 19:22:32 | 血統
 先週の帝王賞を勝ったテーオーケインズの3代母は1995年にアメリカで産まれたピノシェットという馬で,テーオーケインズの輸入基礎繁殖牝馬となります。Pinochetはおそらくチリのピノチェト元大統領のことと思われます。ただピノシェットの母で1988年にアメリカで産まれたピンクタートルという馬もそれ以前に輸入されていますので,牝系はピンクタートルを基礎として紹介します。バレークイーン,ヘザーランズと同じでファミリーナンバー1-l
                                          
 ピンクタートルはアメリカで2頭の仔を産んでいて,ピノシェットは2頭目の産駒になります。ピノシェットを産んだ後,アメリカで種付けされ,仔を孕んだ状態で輸入されました。
 輸入されたピンクタートルが1998年に産んだ牝馬がレディパステル。2001年にオークスを勝ち,2003年には中山牝馬ステークスと府中牝馬ステークスに勝ちました。
 一族のほかの重賞の勝ち馬は2頭で,この2頭はピノシェットの子孫になります。1頭がテーオーケインズで,この一族から2頭目となる大レースの勝ち馬。もう1頭がテーオーケインズの母の5つ下の半妹,テーオーケインズからみれば叔母にあたるタマノブリュネットで,この馬は2016年にレディスプレリュードを勝ちました。
 重賞の勝ち馬はこれだけなのですが,重賞の入着馬とかJRAでオープンまでいった馬というのが多くいます。活力が衰えているような牝系でないことは間違いないと思います。

 スピノザが第三部定理五七備考で情欲について述べていることが,社会societasについても妥当すると僕は考えます。つまり,人間が人間らしい情欲に駆られ,馬が馬らしい情欲に駆られるのと同じように,人間は人間らしい社会的結合を果たし,馬は馬らしく社会的に結合するというべきだと考えるのです。人間の情欲と馬の情欲の差異は,人間の本性natura humanaと馬の本性の差異によって説明されているのですから,この部分では本性中心主義に則したことをスピノザはいっていると解せます。この本性中心主義が,社会についても妥当する,つまり人間だけが社会的に結合するという意味での人間中心主義は成立せず,すべてのものがその本性に則した社会を形成すると解するのが適切だと僕は考えます。これが,人間中心主義と本性中心主義が対峙する場面では,本性中心主義の方を選択するべきであると僕が考える,ふたつめの理由になります。
 ただ,この備考Scholiumというのは,いわゆる非理性的動物についていわれています。したがって,スピノザが解しているであろう非理性的動物,この備考の中で列挙されているものでいえば,馬,昆虫,魚,鳥といったものが社会的に結合するということは,この備考から帰結させることができるけれども,理性的な動物にも非理性的な動物にも該当しない諸々の様態modus,あるいは諸々の物体corpusについて,そうしたものが社会的に結合するということを帰結させることはできないのではないかという反論には,一定の理があることは確かです。スピノザはこの備考では具体的な例としては情欲をあげていますが,情欲を含む一般的な感情affectusや,衝動appetitusとか満足とか楽しみについても語っているのであって,そうしたことを感じることができるのは動物だけであり,動物でない物体がそうしたことを感じるのは不条理であるというのは,少なくとも現実的な観点からはその通りであるといわざるを得ないからです。
 しかし,もしもこの備考の意味をそのように解するのだとしても,少なくとも人間だけが社会的に結合するというわけではないということは結論することができるでしょう。なぜなら,少なくとも人間を含まない非理性的動物は,社会的に結合するからです。
コメント
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