スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

デイリー盃大井記念&善の場合

2021-05-20 19:07:27 | 地方競馬
 昨晩の第66回大井記念
 ドリームキラリが逃げて2番手にノーブルサターン。3番手にフィアットルクスで4番手のミスディレクションとホーリーブレイズの5頭が集団。2馬身差でタービランスとスギノグローアップとミューチャリー。9番手にストライクイーグルとアングライフェンとマルカンセンサー。クロスケ,ハセノパイロ,テルペリオン,ロードクエストの順で差がなく続き,2馬身差の最後尾をナイトオブナイツが追走。前半の1000mは61秒6のミドルペース。
 ドリームキラリは3コーナーで一杯。ノーブルサターンが先頭に立つと,向正面で外から追い上げ,3コーナーでは4番手まで上がっていたミューチャリーがそのままノーブルサターンの外へ。フィアットルクスがその外に並び3頭が雁行で直線に。直線の入口では僅かながらミューチャリーが先頭。捲られたノーブルサターンはギブアップ。フィアットルクスもここからミューチャリーに離されていき,抜け出したミューチャリーの圧勝。フィアットルクスが6馬身差で2着。フィアットルクスの外からタービランスとアングライフェンが並んで追い込んできての3着争い。先んじていたタービランスがフィニッシュまで抜かせず,2馬身半差で3着。アングライフェンは4分の3馬身差で4着。
 優勝したミューチャリーは昨年のマイルグランプリ以来の勝利で南関東重賞4勝目。それ以降は重賞にばかり出走していたために勝つには至りませんでしたが,大きくは負けてもいませんでした。よって南関東重賞に戻ったここは能力上位。本来はもう少し短い距離の方が向くと思うのですが,この圧勝は本来の実力をみせたというところでしょう。自ら動いて勝ちにいき,しかも有力視されていた馬たちが上位を独占していますので,はっきりとした力の差があったとみるべきだと思います。母の従妹に2014年にオークスとローズステークス,2015年に中山記念,2016年にレッドカーペットハンデキャップを勝ったヌーヴォレコルト。馬名の英語表記はMutuallyで,相互に。
 騎乗した大井の御神本訓史騎手は船橋記念以来の南関東重賞45勝目。第58回,65回に続き連覇となる大井記念3勝目。管理している船橋の矢野義幸調教師は南関東重賞22勝目。第59回以来7年ぶりの大井記念2勝目。

 善悪は比較の上で判断される事柄なので,ここまで悪malumについて説明してきたことは,善bonumの場合も妥当します。つまり,あるものがそれ自体でみられるなら自身に悲しみtristitiaを齎すために,第四部定理八によって悪と認識されるのだとしても,その悪によって阻害されるより大なる悪があると認識されるなら,このふたつの悪の比較の上では大なる悪を阻害する悪が善であると認識されることになるのと同じように,あるものがそれ自体では自身に喜びlaetitiaを与える善であると認識されたとしても,それによって阻害されてしまうより大きな喜びすなわち善があると認識されるなら,大なる善を阻害する小なる善は悪と認識されることになるのです。
                                   
 したがって,たとえば地球の温暖化を阻止することは善であったとしても,それを阻止するための行動が自身にとっての大きな喜びを阻害する場合には,温暖化を阻止することは悪とみなされることがあるのです。同様に,新型コロナウイルスの蔓延を防止すること,あるいは自身が新型コロナウイルスに感染するリスクを低減させることは善であると認識されても,そのことによって自身の大なる喜びが阻害されてしまうと認識される場合は,新型コロナウイルスに対策をするということ自体が悪とみなされる場合が生じるのです。
 そしてこれらの事柄についても,第四部定理九を応用することができます。すなわち,地球の温暖化を阻止することの効果は現実的なものとしては表象されず,一方でその対策によって喜びが阻害されることは現実的なものとして表象されます。同様に,新型コロナウイルスに感染することが現実的に表象されるためには,実際に感染する場合しかありませんから,感染していない場合には,感染することは現在するというようには表象されないのに対し,対策によって喜びが阻害されているということは現在するものとして表象されるのです。このために,それぞれの対策を講じることは悪であると認識されやすくなっているということができるでしょう。
 いっていることは悪の場合でも善の場合でも同じことです。ただ善の場合の方が分かりやすいという人もいるでしょうから,同じ説明を繰り返しました。
コメント
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