スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

マイナビ女子オープン&喜びの肯定と悲しみの否定

2021-05-26 19:01:26 | 将棋
 昨日の第14期マイナビ女子オープン五番勝負第四局。
 伊藤沙恵女流三段の先手で,後手の西山朋佳女王が角交換振飛車を目指したと思われますが,先手がいきなり角を交換して馬を作りました。後手が袖飛車にしての相居飛車の力戦に。
                                        
 後手はここから☖7五歩☗同歩☖同銀といきました。先手は☗7六歩。ここで☖同銀は☗7三歩があるので☖6四銀と戻るのは仕方ありません。後手は☗6六歩と突いて後手の角道を止めつつ,馬が動いても桂馬を取られないようにしました。
 後手は今度は☖5五銀。先手は☖6六銀を防いで☗6七金。後手が☖9四歩と突いたので☗5六歩と突きました。
                                        
 第2図でも☖6四銀は仕方がありません。第1図から第2図までの進展で,後手は一歩を入手しましたが,9筋の歩を突いたのは得になっているとは思えません。対して先手は有効手を続けていますので,この手順で先手は大きくリードしたといえそうです。後手はあまり役にたたない手を指すなら玉を固める方がまだよかったでしょう。それができないのなら,こうした乱戦に対する準備が明らかに不足していたということになると思います。
 伊藤三段が勝って2勝2敗。第五局は来月1日に指される予定です。

 第三部定理二八を喜びlaetitiaと悲しみtristitiaでなく,善bonumと悪malumに適用すると,そのまま適用することができない理由も,善悪が比較上の概念notioであるからです。つまり小さな善が大きな善を阻害する場合は,小さな善は悪とみなされることになるので,僕たちはそうした事柄の実現を目指すのではなく,むしろそうした事柄を阻害しようとするのです。同様に大きな悪を阻害してくれる小さな悪がある場合は,その小さな悪は善とみなされることになるので,僕たちはそうした事柄を阻害しようとはせず,むしろそれの実現を目指すことになるのです。よって僕たちは,あるものがそれ自体でみられるなら悪であったとしても,その実現を目指す場合があり得ます。つまり,地球が温暖化することを目指す場合があり得ますし,新型コロナウイルスに感染するリスクを高めることを目指す場合があるのです。そして逆に,あるものがそれ自体では善であるとしても,その実現を阻止しようとすることもあり得ます。つまり地球の温暖化を防止することを阻止する場合もあり得ますし,新型コロナウイルスに感染するリスクを低減させることを阻止しようとする場合もあるのです。
 これまでのことを前提として,今度は第三部定理二五に着目します。ただしここでは,愛するものについては考える必要はありません。僕たちは自分自身に喜びを与えるものを肯定しようとし,自分自身に悲しみを齎すものを否定しようとするということにだけ注目します。そして同時に,スピノザの哲学でいう意志作用volitioが,各々の観念ideaが含んでいる肯定affirmatioおよび否定negatioを意味するという点にも注意してください。この点に留意すれば,この定理Propositioがいっているのは,僕たちは僕たちに喜びを与えるものの観念にはそれを肯定する,近藤のいい方に倣うならそれに同意する意志作用をもとうとすることになり,僕たちに悲しみを齎すものの観念に対してはそれを否定する,ここも近藤のいい方に倣うなら,それに同意しないという意志作用をもとうとするという意味をもっていることになるのです。
 この定理も第四部定理八によって,善悪に置き換えることができます。とくにここでは意志作用について考えているのでなおさらです。
コメント
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