小暮満寿雄 Art Blog

ダジャレbotと間違われますが、本職は赤坂在住の画家です。作品の他お相撲、食やポリティカルな話も多し。右翼ではありません

歴史秘話ヒストリア~葛飾北斎を見た!

2012-02-23 10:48:51 | Weblog
珍しく、2日続けてアートの話題です。

昨日はなぜかマレーシア戦を見るようなテンションではなく、
NHKの「歴史秘話ヒストリア」で、葛飾北斎の特集を見ていました。

いやはや、画狂人北斎・・・恐るべしです。
なんか自分にはとても近づけないけど、目指すべき人・・かな。


不調法ながら、驚いたのは北斎が狩野派や琳派の門を叩いたこと。
そしてシーボルトらと通じ、西洋絵画も学んでいたこと。

言い訳ながら、私の持っている資料にそのことは出ていないので、
最近になって知られるようになったことかもしれませんが、
その間に画風がものすごい変貌を遂げております。

北斎もまた、多くの画家と同じく成功を目指し、
大衆の人気を気にした浮世絵を大量に描いていたわけですが、
一方でいったん成功したら、名前を変えて引越しを繰り返すという、
誠に奇妙な性癖を持っていたようです。


江戸時代は今より身軽に動けたのか、宵越しの銭は持たずに暮らせたかわかりませんが、
大衆の人気を気にすることと、己の画業の研鑽は同じだったのかもしれません。


それにしても富嶽三十六景、古希を過ぎてからの画業とは驚きだな・・・。

番組ではビッグ・ウエーブと呼んでいた「神奈川沖波裏」、
たしかに不断の精進を続けてきた結果、到達した極地ともいうべき作品ですね。
(言いやすいけど、なんだかサーフィンみたいですな)。

水の動きは絵を描く際に、もっとも表現の難しいもののひとつですが、
写真などなかった時代に、あの一瞬を捉えるためにどれだけの研鑽を積んできたのか。
その目と絵筆の流れには驚嘆です。

あのディズニーの名作「ピノキオ」の海のシーンは、
何度描いてもうまく行かなかったのを、北斎の「神奈川沖波裏」を参考にして、
はじめて波の動きをアニメ化できたそうで、いやはや北斎、恐るべしです。


よく日本人は外国から指摘されて、国内の評価が上がると言いますが、
反対に北斎を見つけて評価した外国人を褒めるべきでしょうね。

外国人でも日本人以上に相撲のわかる人がいるように、
岡目八目で外から見た方がわかることが多いもの。

数多くの浮世絵師の中から、北斎を見つけた眼力というのは大変なものではないでしょうか。


画像はドラクロアの「ライオンに教われる馬上のアラブ人」と、
北斎の富嶽百景から「武辺の不二」。

資料を見て驚いたのですが、
奇しくもドラクロアのこの絵が描かれたのは、北斎が亡くなった年と同じです。

印象派が北斎ら浮世絵の影響を受けたのは有名ですが、
ドラクロアはそれより前の時代の人。
でも、この2点・・・関係ないという方がムリがありますよね~。
コメント
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