漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

おおかみこどもの雨と雪

2013年05月15日 | 映画
「おおかみこどもの雨と雪」 細田守監督

を観る。

 話題になっていた、細田監督のオリジナルアニメ映画。
 「狼男」ものだが、過去にたくさんある狼男ものとは全く違う視点で描かれている。これまでの狼男を題材にした作品は、狼男の超人性に焦点を当てたものがほとんどだったが、この作品は、狼男との間に生まれた子供を育てる人間の母親に視点が置かれている。人間の母親の名前が花で、娘が雪、そして息子が雨である。この命名に意味があるのかどうかは、分からない。
 この映画の中で、人狼は人に比べてそれほどの特殊な力を持ってはいない。ただ、自由に狼に変身できるというだけである。息子が生まれた直後に不慮の事故で狼男の主人を失った母親の花は、二人の子供を普通の人間として育てようとする。だが、都会ではそれがうまくゆかず、Iターン制度を利用して、人里離れた過疎化しつつある村に移住することにする。物語は、その村の中で雪が人として、雨が狼として、生きてゆくことを決意するまでを描いている。
 映像はわりにきれいだったし、面白かったけれども、唯一、雨が消えてしまった後に、村でひと騒動が起こらなかったのだろうかということが妙に気になってしかたがなかった。村人にしてみれば、なにせ、子供がひとり、行方不明になってしまったのだ。ずっとシビアな描きかたをしていたのだから、そこのところももう少し描いた方が、もっと説得力が出てよかったんじゃないかとちょっと思った。

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