唯識に学ぶ・誓喚の折々の記

私は、私の幸せを求めて、何故苦悩するのでしょうか。私の心の奥深くに潜む明と闇を読み解きたいと思っています。

唯識(ゆいしき)認識の構造

2019-12-15 08:14:28 | 唯識入門
 おはようございます。一週間あっという間ですね。今日は師走も半ば、何となく気持ちが焦っています。
 前回の記事に対しまして、漢字が読めない、意味が分からないという指摘を受けました。ありがとうございます。前回につきましてはコメントで対応させていただきました。
 今回より、出来る限りフリガナを付けるようにします。
 タイトルの唯識(ゆいしき)についてですが、唯(ゆい)は、ただ、二つ並ぶことの無い、唯一無二(ゆいいつむに)を表します。識(しき)は認識を起こす働きです。
 認識はどのように成り立っているのか、簡単に説明しますと、認識が成立するためには、認識する側(能動体)認識される側(受動体)がマッチしなければなりません。そして認識を起こす根拠として、普通は六識が考えられています。このことが、私の精神構造のすべてであると教えているのです。
 識というものについて、私たちの意識の働きを六識であらわされています。六識とは眼識・耳識・鼻識・舌識・身識・意識です。
 この六識が、前五識と第六意識に分けられます。前五識(眼識・耳識・鼻識・舌識・身識)は、物事を二つに分ける働きは無いのです。五つの感覚器官(眼根・耳根・鼻根・舌根・身根)と意根が認識を起こす根拠になります。五つの感覚器官が対象に向かってマッチングした時に働きとしての識が生まれるのです。例えば眼識ですが、眼は対象を捉えることだけの働きです。見るだけですね。そこに花である、バラである、美しいと感じたり、見ていると認識するのは、意識の働きなのです。意識は知・情・意のすべてを司っている、人間形成における重要なポストなのです。
 ここで説明している識は意識のことで、人間の分別(ふんべつ)のことなのです。物事を二つに分ける意の識のことです。好きだ・嫌いだ、忙しい・暇だ、ということで、そこに善し悪しをつけることです。そして私たちはこの意識の働きで生活をしています。そこに「なぜ」という疑問を抱くことはほとんどありません。ただ知っていることは一つだけあります。それは「自分にとって善か悪か」と判断していることです。「自分にとって」ということはほとんど意識の上には上らないほど、本能的なものなのです。瞬時瞬時、自分にとって都合がよいか、都合が悪いかを判断しています。この判断は天才です。この「自分にとって」というところに、意識の底で意識を成り立たせている働きがあるということを暗示しています。
 古代インドの沙門(唯識瑜伽行派・ゆいしきよーがぎょうは)といわれる人たちがこの意識の底に流れる働きを見出してきました。自分の中に見出してきましたので実に主体的です。よく仏教の深層心理という言葉を耳にします。
 唯識は心理というより自証(じしょう)であり、はっきりと深層意識と名付けた方がよいのではと思います。ともかく自分の中に自分を突き動かしている働きがあると見出したきたのです。その働きを第七末那識(だいななまなしき)といいます。寝ても覚めても自分を愛着し自分を思い続けている意識なのです。
 私たちが生きていくうえで、この第七末那識が、私の一挙手・一投足のすべてに意味を持たせます。行動を起こしことは勿論のこと、考えていることさえも無駄ではないといわれています。
 すべてが意味を持つのは、行動のすべてが私たちの心の深層に蓄えられるということなのです。そしてその蓄えていく器をを第八・蔵識(だいはち・ぞうしき)といいます。
 第七末那識は自我愛着心とでも言ったらよろしいかと思いますが、限りなく自分を愛着していく意識なのです。「私が」「おれが」というところの「我」です。私以外の一切のものはすべて私の所有物であると思っている意識なんです。
 この「私が」という意識が、第八識に働きかけ第八識は何の疑いもなく、すべて蓄積していくことになります。美しいと感じたことがそのままストレートに第八識に蓄積されていきます。第七末那識という自我意識のFilterを通して認識活動を起こし、それが人格形成に関わってきます。自我意識に依存して生活をいているのですね。つまり、私というメガネで色付けをしていきますから「私とあなたは違う」という分別が起こってきます。分別の心、これを迷いの心というのです。わたしたちは迷いの心に依存して生きているといってよいのでしょう。これしか生きていく方法が無いのです。年の瀬世間でインフルエンザが流行していても自分のほうに災いが及ばないときは平気なんです。平気ではないにしても最悪ではないのです。そのまま受け入れることができないような仕組みになっているのですね。
 長い文章になってしまいました。意識を成り立たせている深層の意識については、次回に述べてみます

最新の画像もっと見る

コメントを投稿