
余部の経を尋ねてみれば、
小乗教の中にも密意を以て第八識の存在を認めている文献がある。概略を示します。
(1) 根本識
大衆部の阿含経の中で説かれている、六識の所依となるものが根本識であるという。
(2) 有分識
上座部・分別論者の教えの中で説かれているもので、恒相続にして三界に周遍し、三有の因となるという。有は生命的存在のこと。三界に生まれる因と為るということで、種子のことを認めていることになろうかと思います。
(3) 窮生死蘊(グショウジウン)
化地部の説、無始以来から生死輪廻を繰り返し間断することなく随転しているのは暗に第八識の存在を認めているからである、というもの。
(4) 説一切有部の『増壱阿含経』の中に説かれている事柄が示すもの。
愛阿頼耶・楽阿頼耶・欣阿頼耶・喜阿頼耶という阿頼耶の名を語っていることによる。
本識の三相を説く中で「初能変の識をば、大小乗教に阿頼耶と名く」と云われていましたが、『増一阿含経』の中で説かれていることなのですね。
これは仏密意をもって、小乗教徒に対して廻心向大せしめんが為に説かれたもので小乗共許の経といわれています。
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