唯識に学ぶ・誓喚の折々の記

私は、私の幸せを求めて、何故苦悩するのでしょうか。私の心の奥深くに潜む明と闇を読み解きたいと思っています。

第二能変 所依門 (72) ・ 倶有依 (48) 護法正義を述べる、その(2)

2011-04-07 23:00:38 | 増上縁依(倶有依)

 「依とは、謂く、一切の生滅を有せる法が、因に杖し縁に託して、而も生じ住することを得。」(『論』第四・十九左)

 (依というのは、一切の有生滅の法が、因に杖し縁に託して生じ住するという、お互いに支えあい助け合って一つのものができていることを指す。)

 一切有生滅の法は、因(因縁)と縁(等無間縁・所縁縁・増上縁)によって生じ存在する。その生じ存在することを成り立たせている四縁をまとめて「依」というのである。

 護法が自説を挙げて説明する。文は二つに分かれて説かれる。初は、依と所依との区別について説明され、後に心・心所の倶有依について説明される。その初はまた二つに分かれ、初に依と所依が別であることを説明する。後に違文について説明する。

 「何をか依の義なるや。以く有為の法の因に杖し縁に託して生じ住することを得るぞ。因縁と及び余の三縁とを問わず。此れに望めて力有るは皆是れ依なるが故に。諸法の新に起るをば名づけて生ずることを得と為す。本来より無なるが故に、新熏種等の如し。若し法が本より有るをば名づけて住することを得と為す。新生するに非ざるが故に。本有種等の如くなり。新熏の因というは現行の法なり。縁というは即ち本識等の余の三縁なり。本有の因というは前の自類方なり。縁というは即ち現行の有漏法の等きなり。」(『述記』第四末・八十五左)

 依 - 四縁すべてをいう。現象世界は有生滅であり、現象世界を成り立たしめているものが四縁ということになります。依という場合には、広く因縁に通じる概念で四縁全体をあらわすのですね。「一切有為の諸法は因縁より生ず。」と。