さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

スミスvsユーバンク再戦、明日U-NEXTでライブ配信

2023-09-02 17:48:43 | 海外ボクシング

ホールのダイナミックグローブ配信を見ようと、U-NEXTにアクセスしたら、格闘技のページに、明日も海外からボクシングのライブ配信予定がありました。

英国マンチェスターから、カラムリアム・スミスvsクリス・ユーバンク・ジュニアの再戦です。
前回同様、DAZNでやるのかと思ったら、今回はU-NEXTみたいです。
会社変わったんでしたっけ?全然知りませんでした。


今回、U-NEXTのヘルプページにお知らせの掲載もなく、全然気付きませんでした。
時間は明日午前1時半から。「開演」は2時から、とあります。取り急ぎ。



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技巧派王者の輝き、またも 堤聖也、若き強敵を退ける

2023-09-02 00:07:24 | 関東ボクシング



ということで実質この試合がメインかな、と思っていた日本バンタム級タイトルマッチ、兼、バンタム級トーナメント準決勝戦。
試合の度に技巧の冴えが増していく王者、堤聖也と、僅か4戦目ながら、一回戦の試合において、一躍「ホンモノ」のホープと目される力を見せた強打者、増田陸。

アマチュア時代に対戦があり、年長の堤が勝っているそうですが、アマからプロに舞台が移ると、時に驚くほど、力関係が激変することもあります。ボクシングに限らず、どんなスポーツでも。
とはいえ、プロでも僅か4戦目、そのうち2戦は外国人選手に圧勝で、真のキャリアと言えるのは僅かという増田陸ですから、プロ入り後、その技巧で勝ちを掴みきれない悔しさを経て、遂に王座を手にした堤聖也の方が有利だろう、というのが普通の予想でした。


ただ、試合前から増田の顔付き、身体付きを見ていると、日本の若手ボクサーというよりは、昔日の強い韓国人ボクサー、或いは世界戦でもないと日本には来ないレベルの、強いタイ人ボクサーのような風情ですらある。
出来る限り失礼にならない表現を心がけて言いますが、この押し出しの強い面構えは、他ではなかなか見られない代物。
これは何か、一発しでかすんではないか、という気もして、試合前から気持ちが沸き立ちました。


初回、立ち上がりからすぐ、サウスポーで始めた堤聖也が下がって回り、増田陸がじりじり出て、左を打っていく構図に。
堤の「目利き」が確かなところがさっそく出る。適当に構えて立っていたら、増田の強くて正確なパンチが来る、という判断。
普通なら王者らしく、ええ格好のひとつもしたいところだろうに、そういう「要らんこと」は考えない。
増田をいかに強敵と見て、警戒しているか。それが開始早々から、はっきりと伝わってきました。


2回、増田の攻めが堤を脅かす。左は最短距離で飛び、右の返しも鋭い。打ってもバランスに乱れが無い「抑えた」フォームで、でも強打が来る。
3回、増田は離れても右ジャブが良い。その上で左強打があるから、堤も苦しいところ。左フック互いに当たるが、増田の方が優勢。

4回、引き続き増田のワンツーが怖いが、低い姿勢から色々探っていた堤が、ガードに構えていた右をリターンする。
増田が打つ左のパンチがガードに戻る前に、この右が入る。昔、ハグラーがやっていたようなリターンパンチのテクニック。
この右から左と、ワンツーを決め、次は右構えにスイッチして、左から右のワンツー。巧い。増田効いたか、クリンチに逃れる。

さすが堤、この辺から攻め口を増やしていくか、と思ったが、この回増田の左アッパーが飛び、一発で堤の眉間から出血。縦に傷が出来ている?怖ろしい切れ味。
けっこう派手に出血。堤、左を再三ヒットして、この回は取るが、同時に、TKO負けの危機に立つことに。


5回、増田が右ジャブ、左で狙う。傷を負った堤がどの程度出てくるものか?堤、少し見たあと、行くと決めたようで、左フックを決めてさらに前進。
増田は左アッパーを織り込んだコンビがよく出るが、堤は打ち終わりを左フックで狙い打ち。

堤、圧力かけて出る。傷を負った次の回に、勝負を賭けている。単に巧いだけでない、胆力というか気合いが見える。
増田は鋭いコンビを決めるが、打ち終わりに堤の左が強打で来る。両者のガードにも、差を感じるところ。数は増田だが、強打しているのは堤。
この回、堤が右ボディから左を決めて増田を下がらせる。増田押されてスリップダウン。明らかに威圧され始めている。

途中採点は3対2で割れ、2-1増田リード。この採点だと、計算も何も無い。互いに勝負するのみ。


6回、堤が飛び込むように左フック決め、細かいパンチをインサイドへ集め、左右フックを外から叩く。
増田の左クロスも鋭いが、堤ガードで受ける。そしてまた左右フックで攻める。攻めるときには右構えに変わっている。
増田、後退し、サイドに逃れ、という場面も。
7回も堤が出る。増田は右ボディ、コンビも繰り出すが、堤の左クロスを打たれる。両者右ガードの「防御率」に、はっきりと差がある。

8回、増田ワンツー増やして反撃。堤も変わらず左ヒットで対抗。
9回も増田が左決めるが、打ち合いで左決めたあと、堤の小さい右フックを食らい、ダメージあり。前にのめってクリンチ。
増田踏ん張って左決めるが、堤はそれに倍するヒット、攻勢を続ける。

最終回、堤がポイントリードを得て迎えた、と見える。しかしここまで、増田の攻撃を抑えて攻勢を取り続けるのは、当然楽なことではない。
疲労が見える堤に、増田が最後の意地で迫る。左強打、左右のコンビを決め、堤のリターンもものともせずに攻める。
最後、右が相打ち気味、ここは堤がまさったが、ラウンド全体は増田のもの。


判定は前半やや増田リードも、後半堤が挽回、という見た目通りのもので、6対4がふたり、7対3がひとりと、3-0で堤の勝利でした。




まずはこの試合、増田陸の健闘に拍手、です。
このトーナメント出場選手が決まったとき、外国人に圧勝したふたつの勝ち星しか無いB級デビューの新人が、人もあろうに堤聖也と、名勝負という表現もおかしくないようなファイトを繰り広げるとは、まったく思っていませんでした。
先の一回戦を見て、これは思った以上に良い選手だ、と思いましたが、それでもここまでやるとは。

振りの鋭い強打。バランスが良く、ほどよく膝が降りたフォーム。打たれて危機に立っても堪え、王者相手に10ラウンズ、緊張を強い続けた闘志と体力。
いずれも4戦目の選手とは思えない水準にあります。日本のバンタム級シーンに、改めて、次世代のホープが登場しました。
相手が堤聖也のレベルにない王者だったら、おそらく4戦目での戴冠が、現実になっていたことでしょう。
防御の面で、技巧の王者堤に劣ってしまい、今回は敗れましたが、それは今後の課題ですね。



そして、その若い強敵に相手に、堅いガードと的確な攻防の選択でもって、見事に勝利した王者、堤聖也の闘いぶりも見事でした。
序盤は離れ、増田の良い距離を見た上で、徐々に増田の強打で抑えられていたスペースに、右リターンを端緒に侵入。
その上で距離を詰め、離れていれば問題にはならなかった増田の、若干低い右ガードを、左フックで再三打ち崩す、という展開に持ち込む。
カット、出血というトラブルがあったものの、それも乗り越えての勝利、見事なものでした。


キャリア序盤は、勝っていたような試合を引き分けにされ、敗者扱いもされ、という具合で、悲運の技巧派という印象もありましたが、心倦まずに闘い続け、今はその技巧の冴えが、結果に繋がるようになっています。
トーナメント決勝で穴口一輝を破れば、賞金とともに、世界挑戦のチャンスが得られるかも知れない、ということも含め、かつての悲運の影は、完全に取り払われたと言えるのではないでしょうか。
澤田京介、南出仁に勝利し、今また次世代のホープ増田陸を下す過程において、その試合がライブで見られましたが、今回のLemino配信での試合ぶりもまた、堤聖也の名を高め、そして広めることでしょう。



心配は傷の治癒ですが...出血はかなりあったように見えましたが、実況解説が言うように、ドクターチェックが入らなかったのは、傷自体は大きくも深くもない、ということだったのでしょうか?ならば幸いなことですが...。
見た印象では、12月に次戦というのは、厳しいようにも思ったんですが。気がかりなところです。


コメント (3)
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