ということでABEMAのライブ配信、とても全部は見られませんでしたが、メインは20時から、という有り難いテロップの表示もあり、メインだけは当たりを付けて見ることが出来ました。
アンダーは後日チェック、ということで。昨日は何しろMotoGPも見ないといかん(酷い転倒がありました...)し、早朝はU-NEXTで、スミス(リアム、でしたね。失礼しました)vsユーバンクのせがれ再戦も見たし、あれこれあって大変でした。
和氣慎吾は元世界挑戦者でWBO13位のチリ人、ホセ・ベラスケスと対戦。
どんな選手かなぁ、とぼんやり見ていたら、リングに上がった顔と姿を見て、DAZNで見たムロジョン・アフマダリエフ戦の記憶が甦りました。
アフマダリエフと同じく小柄で、パワーではなんとか対抗出来るものの、機動力とスピードで劣り、サイドに回られ打たれ続けて、判定は大差だったが、右を振り回して奮闘を続け、試合終了のゴングを聞くと、まだまだやれるぞ、とばかりトンボを切って、腕立て伏せをしていた奴がいたわ...あの選手かあ、と。
かつて、バタバタ倒しまくっていた頃の和氣慎吾だったら、入ってくるとこに左一発、バチッと決めて倒す、という絵もあり得るかもしれないが、今の和氣に当てて大丈夫なんやろうか...と、不安な気持ちになりました。
案の定というか、試合は和氣が左ボディアッパーを多用し、上にワンツー返すが、ベラスケスはラフに頭から入るのも込みでぐいぐい前進。
なかなか食い止められず、ベラスケスの前進に四苦八苦、という「絵」。
クリンチもほとんどフロントヘッドロックの域、というものを繰り返す和氣でしたが、チリ人がそれをも振りほどき、左右を振り回して和氣を脅かす。
小柄なベラスケス、的が小さくて打ちにくそうな感じ。和氣の左ボディは良く出るが、試合が進むにつれて、全部が全部、打たれて嫌なところに届いているものかどうか、判然としなくなっていく。
また、リング上、キャンバスに所狭しと描かれた広告のロゴがどうもよろしくなく、和氣は足が滑るのか、しっかり踏ん張って打てない。
ただでさえ往時の切れ味は望めないか、というところに、さらに腰高になってしまった感あり。
相手は気にせず前に出ているのも事実ながら、やはり足使うボクサーが選んで履くシューズは、それ向きの材質のもので、その素材との相性が悪い、ということなのでしょう。
そんなわけで、ラフに迫ってくるベラスケスのせいで、両者スリップダウンを繰り返すなど、和氣にとってはしんどい展開。
ポイント的には序盤はまだ、和氣が取っている感じながら、回を重ねる毎に、ベラスケスの左右フック、ボディ攻撃が和氣を押しまくるという構図になっていく。
4回までは和氣が若干リードか、と思いましたが、5回の攻防でそれがベラスケスにはっきり傾き、右ボディから上に重いパンチを返された和氣がスリップダウン。
6回は和氣が速い左やコンビを当てても、ベラスケスが重い右を打ち返し、和氣がまともに食う。ロープ際へよろめく場面も。7回もベラスケスの攻勢を和氣がしのぐ。
最終8回開始前の時点で、いかに地元とはいえ、ラスト取られたら厳しいかも、と思っていましたが、ここで和氣が奮起。
足元は相変わらず気になる様子ながら、左ショートや速いコンビネーションをヒットして、こちらもさすがに疲れが見えたベラスケスを抑え、試合終了。
判定はこちらの印象とはちょっと違っていて、6対2で三者揃って和氣を支持していました。
かつては触れるもの皆斬り倒す、みたいな勢いで、後楽園ホールのスターボクサーとして、そして次期世界王者候補の筆頭として一世を風靡した和氣慎吾、地元のリングでは、李ジェーソン戦以来の試合だったと思いますが、あの時とはまた、多少違った趣ながら、またも激戦を勝ち抜いた、という試合でした。
風貌は変わらず個性的で若々しく、スピーディーでスタイリッシュなボクシングも、一見すれば同じですが、やはり一打の切れ、決定力は落ちていて、それを踏まえた上での闘い方を強いられる苦しさが、どうしても目に付いてしまう。
上記のようなキャンバスの不具合、そしてタフでラフな相手の暴れっぷりもあって、勝敗どうというより、色々苦しいなあ、という印象が強く残りました。
しかしそれでもなお、再びの世界という夢に向かって、闘える試合がある以上、それを闘わないという選択はない。
それが今、この時における、和氣慎吾の心の全てなのでしょう。それもまた、痛いほど伝わってきました。
この試合を勝利して、この先にどのような試合があるものか、あり得るものか、想像しにくい面もありますが...。