昨夜のU-NEXTライブ配信、ダイナミックグローブ移転後三回目でした。簡単に感想。
次代を担う者は誰か、Who's Next、という問いかけに対する今回の答えたり得るのは、強いて言うなら藤田健児だったかもしれません。
アマチュアとしては誰もが認める、国内最高クラスの選手として知られましたが、プロ入り後はそのレベルの高さが災いする面もあって?プロとして据わりの良い印象は持てなかったですが、今回、キレ味とテンポの良さが見られました。
ストップシーンに関しては、いかにも大手ジムのトップアマ転向選手が「してもらえる」ものにも見えましたが、そこまでの過程はまずまず。
技術レベルと耐久力がさらに一段上の相手に、あの打ち方(好機でもそうでなくても、腕の遠心力「だけ」のパンチを打ってしまい、詰めに強さ、鋭さを欠く傾向あり)で通じるか、という課題は変わらず残っている、とも見えますが、スピードとテンポアップでそれを補えるのか、どうか。
これまでは「このままでは、上、先へと話が進まないのでは」と思うばかりでしたが、そういうところからは一歩進んだかな、と思える試合ではありました。
メインは期待半分、疑念半分の試合でしたが、疑念の方が現実に近かった、かもしれません。
アピチェット・ペッチマネーという選手は、歳は行っているがタイの元トップアマで、WBSの試合にも出た経験あり。
もしこの選手が、たまに「間違って」日本にやってくる「本物」だとしたら、保田克也では厳しいかもしれない、と思っていました。
しかしアピチェット、高いガードにもかかわらず、肩に無駄な力が入っていない構えは「これは良いかも」と一見思えたものの、サウスポー保田の正面に位置し、後ろ手の右から打とうとして、遠回りだからあまり当たらず前のめり、という「布陣」の段階でのミスを、最後までほぼ是正できず。
対する保田も、左ストレートの当たる位置関係を上手く作れない。
当たる確信を高い頻度で持てない、オーソドックスとサウスポーの組み合わせでこうなると、どうしてもクリンチ、揉み合いが増える、その典型例...でしたが、さすがにちょっと、度を超して酷い。
打ってクリンチ、外してクリンチ、揉み合いの合間にオマケでボクシングをやっている、という具合。
4回、微妙な右フック引っかけでダウンをスコアした保田だが、直後にクリーンな右を合わされ逆に倒される。
それ以降は双方、あまり見どころなし。中盤以降は上記のような調子に拍車がかかる。
7回、アピチェット、フロントヘッドロックから引き落とし。
8回、アピチェットのボディブローが入ったあと、保田がしゃがみ込む。解説のセレス小林協会長、珍しく「ダウン取られても仕方ない」と厳しい指摘。これは驚き。
10回、保田右リードが少し出る。正対した位置関係では、これが正解。だが続かない。残念。
最終回、アピチェット投げ技を二度披露。減点される。
判定については正直、興味が持てず。保田になるんやろうなあ、と思って、その通りでした。
A-Sign動画で石井一太郎会長が明かしていましたが、本来、今回のメインは、韓国遠征でつつがなく勝っていれば、三代大訓が保田と対戦するカードたっだ、のだそうです。
三代が敵地で、一階級上の相手に負傷もあって負けたため、急遽保田の相手に、ちょっと難しい相手を呼ぶことになった、ということらしいですね。
で、そのアピチェットですが、確かにやる気も耐性もないような手合いとは違って、手強い部分もありましたが、アマチュアのキャリアがあるわりに、対サウスポーの闘い方があまりにも拙く、これではなあ、と見ていて溜息が出ました。
対する保田もまた、同じように正対した位置関係から、軸を僅かに右へずらせば、色々打てるパンチがあるのに、と見えるが、それがほとんど出来ない。こちらにも色々、限界が見えた。
双方共に、残念な印象でした。
全体を見ると、8回戦の森朝登、秋間瑞輝戦が一番白熱していました。
判定自体は3-0で森でしたが、ラウンド毎の内容は競っていたような印象で、好ファイトだったと思います。
U-NEXTの実況解説は、上記の通り、セレス小林会長の解説も、一カ所、厳しい内容のコメントがあったりと、バランスは改善されていた部分あり。
しかし肝心の試合内容が、厳しい批評に耐えうるところまで来ていなかったこともあり、どうしても精神論に傾かないと、お話のしようもない、というところだったか。
U-NEXT、なんといっても画質が良いし、絵としても綺麗なものが作れているし、亀海喜寛や伊藤雅雪のような、若い解説陣の成長にも期待したいですが、カードの質や試合内容を見ると、本当に、いつまで「やってもらえる」のやろうか、という心配が、今のところ続いています。
次回も直近負けた選手が日本タイトルマッチに出るなど、普通に考えて、首を傾げざるを得ない話になっていたりしますし、うーん、というところです。