試合順でいえばセミファイナルだった試合、WBOライトフライ級タイトルマッチは、ジョナサン・ゴンサレスが岩田翔吉に判定勝ちを収めました。
序盤は岩田が右リードで出る。ゴンサレスの弱点と目されるボディにもヒットあり。
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2回、ゴンサレス足使い、ワンツー。岩田コーナーに追い攻めるが、ミスブローの際にバッティング。しばし休憩。
3回にも岩田が出た際、ゴンサレスがバッティングを訴える。少し試合の流れが冷めた感。
しかし岩田出て、右フックの相打ちを繰り返し、右ボディにも深く打ち込む。ゴンサレスのヒットもしっかりあるが、押しているのは岩田の方。
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4回、岩田攻めるもゴンサレスがまた頭当たったとアピール。
これは自分が空振りして当たって痛がっているように見え、岩田構わず打ってしまえ、と思ったところ。
続いてゴンサレス、岩田の右ボディをローブローだとアピールするがレフェリー認めず。岩田さらに右ボディのヒット。
序盤、悪くないスタートだと見えていました。このまま攻めて行ければ充分勝てそうな感じ。
ところがこの4回、ラスト30くらいからか、先ほどまでヒットを喫し、打ち返しもさほど、何かといえばみっともないアピールばかり、と見えたゴンサレスが、急に腰入れて左右のボディを打ち返して来る。
ん?と思ったが、この切り換えが奏功し始める。
5回、6回と徐々にゴンサレスが攻め込む。ガード上げて前進、左ダイレクトが速く、ボディブローも入る。
岩田は相手を追って捉える闘いから、相手の方から来る展開の変化に対応出来ていない。
打ち勝てず、パンチをもらいつつ、前に出られず下がらされ、また打たれている。
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タイトルホルダーとしては攻撃力に不足あり、パンチもないという評を受けるゴンサレス相手に、いざ真っ向から渡り合うとなったらこんな感じでしかない、のか。
岩田に対して、正直かなりがっかりした時間帯でした。
ただし、追いかけて捉えようとする岩田に対し、取り返しのつかない劣勢になる前の時点で、闘い方を切り換えて前に出ると決めた、ゴンサレスの決断、切り換えのタイミングの早さにも感心させられました。
右のパンチで攻められ、ボディを叩かれて止められたあとで打っていっても遅い。その前に反転攻勢に出る。
完全に痛めつけられる前だからこそ、パンチの精度も高く、防御のセンサーも機能させつつ前に出られている。
勇敢で冷静、適切な判断でした。この辺はさすがというか、キャリアの差まざまざ、という感じがしました。
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岩田8回から奮起、ボディ叩いて前に出る。しかしゴンサレス、また足使う流れに戻し、かわそうとする。
9回岩田さらにギアを上げ、ボディ攻撃でゴンサレスを追い回すが、ゴンサレスしのいで終盤に左フック一発。
続いて右フックも。いずれもクリーンヒット。ゴンサレスが「弱打者」だから助かった、と思うくらい「マトモ」でした。
残り3回、ゴンサレスにとっては「注文通り」の9分だったか。
足使って単発のヒット、外してやり過ごし、岩田のヒットは散発的に終わる。
終盤はゴンサレスにとり、これがやりたかったんだろうなあ、という展開に収まったまま、試合が終わりました。
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判定は3-0。思ったより開いてた、というべきか。
会場で見ているともう少し競っているかも、と見えはしました。
序盤4つ、全部岩田に与え、9回も岩田に振り、それ以外ふたつが岩田に行くような採点をするジャッジがいないとも限らない...と思ったりもしました。
結局、それは「杞憂」に終わりましたが。
正直、勝者と敗者どうこう以前に、この日行われた他の3試合と比べると、試合としてのグレードが一段落ちるものだったなあ、と思いました。
ジョナサン・ゴンサレスは試合展開をスパッと変えられる巧さがあり、それには感心させられましたが、序盤のアピールは仕方ないにしても見苦しいのがあったし、何よりKOの可能性がまったく見えないパワーの欠如は、率直に言って魅力に欠けました。
戦績を見るとKOの数もそれなりにありますが、それはほぼ全て、キャリア序盤、前半に集中していて、相手のレベルが上がってからは、ほとんど倒せていない。
それもむべなるかな、と改めて見えた闘いぶりでした。
そして、その相手に二度、展開の切り替えをされて、終盤はほぼ、為す術なく失点を重ねてしまった岩田翔吉もまた、経験不足を露呈したと言えるでしょう。
小柄ながら懐深く、足も速いゴンサレスを右ボディで捉えにかかりましたが、パンチに欠ける相手を追って捉える、という構図だったはずが、逆に打ってくるという切り替えをされたら、打ち勝てなかった。
攻撃の精度も防御の「率」も劣った中盤を経て、終盤はまた足を使われ、カウンターを取られ...もちろん、圧倒されたわけではないにせよ、勝敗は明らかだった、と言わざるを得ませんでした。
少なくとも、この日のようなビッグイベントに出る選手としては、若干グレードが不足していた。
先のPXB同様、プロモーターが組んだカードと「会長」が組んだカードが混在する、という意味で通じる今回の大イベントでしたが、彼は明らかに「会長」の組んだカードに出た選手だった。
その差が試合自体、そして彼の闘いぶりにそのまま見えた。そういう評価が残った試合だった、と思います。
試合後、本人は判定に不満だったようですが、今時のボクサーにしては考えが古いのか、或いは本人としては余程手応えがあったものか。
ただ、もしこの試合の判定について,、省みることが何も無いと本当に思っているのだとしたら、それは如何なものかと思います。
この日見た試合のなかで、最も「残念」だった試合でしたが、試合後のこの報道は、それを上乗せするようなものに感じられました。
※写真提供は「ミラーレス機とタブレットと」管理人さんです。
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