さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

「位負け」はしていなかった 梶颯、初挑戦は福永亮次に惜敗

2021-10-03 14:14:09 | 関東ボクシング



昨夜はG+生中継を、ちょっとだけ遅れて追っかけ再生で見ておりました。


初回から、梶颯が落ち着いていて、距離に応じてガードを上げ下げ、下肢を柔らかく使って頭の位置を変え、サイドにも出る。
福永亮次の、一点集中して敵の防壁を撃ち抜くワンツーが、あまり出ない。
どっちが三冠王者で、どっちが歳若い挑戦者なのか、知らずに見たらわからないような「絵」でした。

福永が上だけでなく、ボディ攻撃を織り込んだ連打を繰り出すが、梶はその打ち終わりを逆に捉える。
5回、このパターンで二度、福永が打ち込まれ、梶がラッシュをかける。
6回、福永はボディ攻撃を一旦自重し、離れてストレートパンチに徹するが、梶もリターン狙いから、懐に入っての連打に切り換える。

全体として、梶がじりじり出て当てて行き、福永が懸命に「抵抗」しているように見える。
しかし互いに攻撃力があり、好打もある者同士故に、警戒レベルも高く、どちらか一方に流れが傾く、というではなし。
これ、採点難しいやろうけど、やや梶かな、と見えた終盤戦、梶がもうひとつ攻めを上乗せ出来ず、逆に福永が奮起。
サイドに回る梶を追って左を決めるなど「対応」の面でも頑張り、追いついたか、競り勝ったか?という感じで終了。

さうぽん採点はドローでしたが、公式は2-0のマジョリティーで福永。
福永支持はいずれも7対5で、小差でした。
2ポイントの差があるわけで、仮に10回戦だったとしても、梶の王座奪取はならなかったのかもしれません。



しかし、試合としては見応えあり、緊迫感が最後まで続く、好ファイトでした。

何より、梶颯の方に、新人王の頃に見て感じた「大物感」というか、風格のようなものが、タイトルマッチの舞台でも変わらず見えたような気がしました。
福永の強打に対し、まったく「位負け」していなかった、というか。
上記のように、様々な防御を備えて立ち向かい、打つと見せかけて手を引き出して外し、打つという、高度なフェイントも再三駆使するなど、その闘いぶりは堂々たるものでした。
しかし、冷静で落ち着いている反面、5回の好機にもうひとつ正確な追撃が出なかったこと、それ以外の回でさらなる上乗せ、さらに爆発的な攻めがなかったことが、結果として響いた感じでした。


ただ、初黒星を喫したとはいえ、その素質は充分、層の厚い日本の115ポンド級においても、上位争いに加われるものがある、と証明した一戦でもありました。
何しろここまでのキャリアを見ると、新人王戦以降、強打故、そこにコロナ渦もあって、タイトル挑戦に至るまで、ほとんど手強い相手との闘いを経験していない選手が、初のタイトル挑戦で「あの」福永亮次に「いきなり」ぶつかって、破綻無く自分のスタイルで闘い抜いたのだから、驚異的だと言っても良い、と思います。

攻防の比率というか配分、バランスを変えるか、今のままで行くなら、一打の威力と精度をさらに上げるか...課題は当然のこと、残りましたが、その部分も含めて、今後の闘いぶりを見て行くのが楽しみな選手ですね。



================



もう毎度のこと、いちいち文句を言うのもアレなんですが、G+の実況、昨日はけっこう重大なミスがありました。
この試合、日本タイトルマッチのルール通りに、5回終了時に途中採点が出たのですが、場内アナウンスしてる時、実況アナウンサーがそれを聞かず、普通に喋り続けていました。
そのせいで途中採点が聞き取れず、挙げ句に実際は福永リードだったものを、梶リードと間違えてしまう。
スタッフのフォローや訂正もなく、そのまま放送が続きました。

前座の「練習実況」も毎度ながら酷いもので(「ジャッジが試合を止めた!」とか言ってました)、有料放送でこんな程度の低いものを、堪えて聞かないかんのか、と思うこと再々ですが、セミやメインとなれば、経験を積んだ人員が起用され、まあ何とか...という感じのG+ですが、昨日は全体的にも今イチで、その上にこの重大ミスです。

生中継してくれるのは有り難いですが、お金取って見せてるものでしょうに、こんなこっちゃまずいでしょう...頼んますよ、ホンマに。



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3 コメント

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Unknown (アラフォーファン)
2021-10-03 15:10:25
梶くん、素晴らしかったですし、効かせたという点で言えば、私は梶くんの勝ちかと思ったのですが、負けは意外でした。
初のタイトル戦、しかし風格は全く落ち着き払ったものでした。まさに戦うために産まれた、という。新人王の時も言ったかもしれませんが、昨日もそうでした。ただ敢えて言うと、昨日はその落ち着き払った姿勢がやや最後響いたのか、2ラウンド失ったかな、そして明白に効かせた後、少し無理したら倒し切れたようにも見えました。
ただしばらく外国選手との試合、パッとしない試合が続いてましたが昨日は素晴らしかった。
結果は福永さんがタイトル守りましたが、私は伸びしろ考えると梶くんが世界やれるように見えました。
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Unknown (hiro)
2021-10-03 22:43:34
今回、梶選手の判定勝ちかと見ましたが、ラスト2回が勿体なかった。そこが経験の差かと見えました。

一方で、途中採点、ルールから???でした。日本タイトルと東洋タイトルのWタイトルの時は4回、8回の公開採点でOPBFルール優先なのに、WBO-APが混じって3冠になると、何故か日本タイトルルールの5回に1回だけ公開採点になるとは。あと1度、公開採点があれば気を引き締めて梶が勝つ目もあったのでは、なんて思ってしまいました。
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2021-10-04 15:50:37
>アラフォーファンさん

もうひと山、作れたら勝てるなあ、と思っていた終盤に、逆にヒットをまとめられたんで、まあ仕方ないのかなという印象でした。しかし梶の実力は、このレベルでも証明されましたね。やっぱり強いのと当たったときに、地金が出るというか「本当のところ」が見えるものですね。試合後、判定が出る前の福永の表情も、それを裏付けていたように思います。
梶の将来は、さらにもう一段の成長、ないしは「方針」の確立があれば、世界も、と思います。井岡、田中以外にもそうそうたる顔ぶれが並ぶクラスですから、まずは上位対決を経て、日本タイトル再挑戦へと進んで欲しいですね。


>hiroさん

この試合に臨む前に、ユースタイトルで強い相手との試合を経ていれば、という気もします。まあ、漠然とした話ではあるんですが。
言われて見れば、公開採点が日本タイトルのルールで行われた根拠は何なんですかね。実際、12回戦なのに。
WBOアジアパシフィックは、協会は認めているが、コミッションが受け容れてはいない、という導入時の話を覚えていますが、今もその状況が変わっていないから?よくわかりませんね。その場合も、OPBFはどうなる、という話ですし。
公開採点がもう一度あれば、確かに何か変わっていたのかもしれません。いろいろ「タラレバ」を言いたくなる試合があるものですね。
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