Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

ジェリーフィッシュ

2008-03-23 13:41:45 | 映画 さ行
               *公式サイト
2007年/イスラエル=フランス/78分
原題:Meduzot
監督:エドガー・ケレット、シーラ・ゲフェン
出演:サラ・アドラー、ニコル・ライドマン、ゲラ・サンドラー、ノア・ノラー

不思議で、同時に奇妙でもあるふわふわ感に彩られた一編の詩~
その映像も、そこで語られる物語も、そこにあるすべてが現実的なようでいて、それに触ろうとすると消えてしまう泡のような、或いは近寄るともっと遠くにいってしまう蜃気楼のようだ。その中を、その不安を確固たるものに変える「何か」を求め続けながら、あてどなく漂い続ける人々の姿。
そこに描かれている心に抱える傷、不満、その結果としての苛立ちと自信喪失といったもの全てが、ある瞬間それが自身の反映ではなかろうかと気付くと、それまで他人事だった距離が一挙に縮み、ぽっと現れた浮き輪の少女にバティアとともに天使を見、探していた。
太陽に照らされた景色はあくまで明るく輝くが、それが明るければ明るいほど、美しく輝けば輝くほど、内面に抱く孤独の暗さ、深さが浮き彫りになって切なくなる。ヘブライ語の響きにドイツ語、英語が混ざり、ふとした瞬間にイスラエルの現状が垣間みえる。

この作品を観た翌日のNHK「世界遺産」は偶然にも「テルアビブ」だった。そこに映された世界遺産としてのテルアビブはやっぱり海があったけれど街全体が白くて「ジェリーフィッシュ」で感じたそれとは全く違う表情を見せていて興味深かった。
コメント (8)
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