Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

雨天炎天

2006-11-13 00:12:57 | 
            
『雨天炎天』~ギリシャ・トルコ辺境紀行~
村上春樹 著(新潮文庫)
思い立ってこの本を読み返した。「ギリシャ編:アトス--神様のリアル・ワールド、トルコ編:チャイと兵隊と羊--21日間トルコ一周」と二部で構成されている。
どちらもとてもタフな旅行なのだけれど、ユーモアが漂っているので電車の中で思わず笑い出したくなるのをこらえるのが大変だった。しかし、みっともない顔でにたにたしてたんだろうなぁ~

アトス半島は「こちらがわの世界とはまったく違った原則によって機能している世界」であり「その原則とはギリシャ正教である」(本文より)宗教的聖地、巡礼の地、20の修道院と約2千人の僧が厳しい修行を積むところ。だから女性は一人も住んでいないし、足を踏み入れることも決して許されないところなのである。
TVでこの半島の旅を放映したのを見たことがある。かなり以前なので記憶も曖昧になってはいるのだが、太古からの自然だと紹介されていた風景の厳しさだけが印象に残っている。村上さんの旅も山道が相当険しいこと、またその天候がくるくると変わり厳しいことがよくわかる。そして修道院での食べ物についての記述も詳細で面白い。女性である私はいくら願っても行けないこのアトスを垣間見ることができた。

そして21日間で周るトルコの旅も厳しいことこの上ない。トルコは兵隊の多い国だというのはどこで読んだんだっけ、と思っていたら、あら!この本だったのね。犬猿の中のギリシャとトルコを続けて旅すると、そりゃあその違いが際立って感じられるものなんだろうな、と納得させられる。アジア語楽紀行ののんびりとして気さくな、そして平和なトルコのイメージとは全く違うトルコの顔がここには記され、陸続きの国という厳しさ、内包する民族問題などについてもここでは語られる。ガイドブックには絶対載らないであろうトルコの別の顔がここにあった。それでも、いつか一度は行ってみたい国~。
コメント (10)
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