Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

悲しくなったときは

2005-11-12 00:18:35 | 音楽
<悲しくなったときは> 寺山修司

悲しくなったときは 海を見にゆく
古本屋のかえりも 海を見にゆく
あなたが病気なら 海を見にゆく
こころ貧しい朝も 海を見にゆく
ああ 海よ 大きな肩とひろい胸よ
おまえはもっと悲しい
おまえの悲しみに
わたしのくらしは 洗われる
どんなつらい朝も どんなむごい夜も
いつかは終わる
人生はいつか終わるが
海だけは変わらないのだ
悲しくなったときは海を見にゆく
一人ぼっちの夜も 海を見にゆく

「ああ、この詩知ってる!久しぶりに読んだ!」と思ったのは11月26日に伴奏する演奏会の中の一曲、中田喜直の歌曲である。音楽がこの詩についていたとは知らなかった。さすが中田さんはいい詩に音楽をつける、と先ずそこに感心する。

この詩を読む時、私は様々な色に彩られた海と遠く潮騒が聞こえてくる。海の香が漂う小さな町を歩く灰色の背中が思い浮かぶ。そしてまた広がりと、底知れない暗い闇、深い孤独を同時に感じてしまう。そして何ともいえない温かな希望、慰めを抱いてこの詩を読み終えるのである。

いい曲だけれど、とても難しいこの歌曲。この詩ほどにこの曲が巷に知られるか、というと・・・それはどうだろう?
コメント
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