Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

街のあかり

2007-08-13 23:10:08 | 映画 ま行
               *公式サイト
2006年/フィンランド/78分
監督:アキ・カウリスマキ
出演:ヤンネ・フーティアイネン、マリア・ヤルヴェンヘルミ、イルッカ・コイヴラ、マリア・ヘイスカネン、カティ・オウティネン、パユ
「フィンランドのヘルシンキに、ひとりの男が静かに生きていた。友人はいなかった。愛する人もいなかった。見守る家族もいなかった。文字どおりひとりぼっちの世界を生きていた。海辺でソーセージ屋を営む女だけが彼を見つめていたのに、その店のあかりは彼の眼には入らなかった・・*ユーロスペース:作品解説より」

観てからかなりの時間が経ってしまっているのだけれど、全編通して底流に静かにしかし途切れることなく流れている一途で誠実な思いがこの作品を思い出すたびよみがえってくる。そして「ボルベール」が流れてきたのにも吃驚!
ただひたすら心傾けて愛する男、裏切るために近付く女、愚直な男をずっと見つめ続ける女・・・ヘルシンキを照らすぼんやり灯るあかりが、台詞の少ない不思議な間とともに心に残る。
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ミュージック・クバーナ

2007-07-03 00:16:08 | 映画 ま行
            *公式サイト
2004年/ドイツ/88分
監督・脚本:ヘルマン・クラル
原題:MÚSICA CUBANA
出演:ピオ・レイバ/バルバロ・マリン/マリオ・“マジート”・リベーラ/ペドロ・“エル・ネネ”ルーゴ・マルティーネス/テルマリー・ディアス/オスダルヒア・レスネス /ルイス・フランク・アリアス/ティルソ・ドゥアルテ
      ♪~心が歌いだす~♪
公開時レイトショーで観るのを諦めたこの作品、TSUTAYAで見つけて早速レンタルしてきた。「コマンダンテ」に続いてキューバを舞台にしているのも何かの縁か。(どんな縁?という突込みはなしね!)

キューバ音楽といえば思い浮かぶ、「ブエナビスタソシアルクラブ」
その『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』にも登場していたピオ・レイバがタクシー運転手バルバロに口説かれ、キューバの若手ミュージシャン達とともにバンドを組み、キューバ音楽の伝統の上に新たな音楽を生み出していく。

とにかく次々に溢れ出る音楽の波~♪
最初に聴いたピオの「Yo no soy mentiroso」の歌の素晴らしさ!生き生きしてしかも渋くて、耳を傾けずにはいられない~。この曲は終盤でも流れるんだけど、それも素敵
サルサ、チャンチャン、ルンバ、チャチャチャetc.、そしてキューバのラップも楽しめる。熱い音楽の連続~!!そしてカメラはそれらを歌うミュージシャン自身の姿にも迫る。彼らの暮らし、日常を追ってキューバという国をカメラは映し出す。印象に残ったのは国立音楽学校:Escuela Nacional de Música、キューバの音楽学校ってどんなんだろうと興味津々で見ていると、レッスン室がずら~りと並び生徒が熱心に練習する姿が映し出される。ここはジャズの学校のようで、案内してくれたミュージシャンはマイルス・デイビスは僕のアイドルだった、そしてチャーリー・パーカーにも影響を受けた、なんて話す。キューバだなあと思ったのは、そこで使われていた五線紙の片隅にチェ・ゲバラの肖像が印刷されているのを見た時。
リハーサルとコンサートを重ね、彼らは海外公演へと向かう。向かった先は東京!!「Pio Leiva&The Sons of Cuba」として東京キネマ倶楽部でのライブは圧巻だった。
とにかくこの映画、どこを切り取っても音楽、音楽、音楽~♪それに心が共鳴する。
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マリー・アントワネット

2007-01-25 00:04:03 | 映画 ま行
             *公式サイト
2006年/アメリカ・フランス・日本合作/123分
監督:ソフィア・コッポラ
原作:アントニア・フレイザー
音楽監修:ブライアン・レイツェル
出演:キルスティン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツ、ジュディ・デイヴィス

とにかく全編これ、うきうきする溢れる優しい色合いの豪華な衣装、夢色の靴・小物の数々、そしてうっとりする宝石のようなスウィーツに目を奪われました。ヴェルサイユ宮殿の荘厳さ、自然に囲まれたプチ・トリアノン宮殿の美しさ~
そして、そして、これまたワクワク感を否応なく盛り上げるポップな音楽、これで宮殿でのダンス踊っちゃうの?・・・踊っちゃうんですっ!!それでいてF.クープラン(一曲だけだったけど、好きなんだ)が流れたりして・・・音楽にも酔いました。

何てったって14歳でフランス王家に嫁いだんですものね。マリー・アントワネットの青春が眩しく輝くのだけれど、輝いて見えれば見えるほど同時に彼女のどうしようもない、救いようのない孤独を感じてしまう。だから、プチ・トリアノンで王女とともに百合が咲き、羊がいて鶏がいて、という緑の田園ライフをゆったり楽しみ心安らかに過ごす姿に胸を衝かれる。最後の馬車の中での夫のルイ16世とともに家族でヴェルサイユに別れを告げるその顔は、それまでには見られなかった大人の女性の顔になっていたのが・・・悲しい
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メルキアデス・エストラーダの三度の埋葬

2006-11-27 00:32:38 | 映画 ま行

             *公式サイト

2005年/アメリカ=フランス/122分
監督:トミー・リー・ジョーンズ
出演:トミー・リー・ジョーンズ、バリー・ペッパー、ドワイト・ヨアカム、ジャニュアリー・ジョーンズ、メリッサ・レオ、フリオ・セサール・セディージョ

思いがけない展開と予想だにしなかったラスト。
メルキアデスと親友ピート、そして国境警備隊員マイクの三人がアメリカから心張り裂けるほど美しいメルキアデスの故郷ヒメネスを目指すロード・ムービーである。馬で国境を越える三人の通る道は険しい。山脈の中を縫う道は乾いて、土はぱさぱさし一歩間違うと深い谷が口を開けて待っている。
ピートはマイクから「狂っている!」と言われようが、メルキアデスとの約束を守り抜くために遮二無二ヒメネスに向かって突き進む。傍目からどう見えようと関係ない、それがピートの友情なのだから。
途中の黄色い花畑の中を駆けていくシーン、ロバが落ちていくシーン、そして広がる何となく水気のない、というか湿気を感じさせない景色が印象的。
しかし、この旅の終わりにそれぞれが、それぞれの心の平安を得たのではなかろうか。特にマイクにとっては結果的に、深い贖罪の旅となったのではなかろうか。
見ている側も救われ、ほっとするのを覚える。

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マッチポイント

2006-09-18 00:00:24 | 映画 ま行
            *公式サイト

イギリス/2005年/124分
監督・脚本:ウディ・アレン
出演:ジョナサン・リス・マイヤーズ / スカーレット・ヨハンソン/ エミリー・モーティマー/ マシュー・グード/ブライアン・コックス/ペネロープ・ウィルトン

「ボールがネットの上に当たってはずんで
ツイている時は向こう側に落ちて、勝つ
ツイてない時はこっち側に落ちて、負ける
勝敗は運が決め
人生はコントロールできない


混んでると聞いてはいるけれど、公開から日にちが経ってるしひょっとしたら空いてるかも・・・平日、立川・・・混んでました(がくっ)
それは「ニューヨークにこだわり続けてきたウディ・アレンが初めてロンドンで撮影を行なった」から?スカーレット・ヨハンソンの妖しい魅力のせい?それともジョナサン・リス・マイヤーズに惹かれてなの?
まあ、理由なんてなんでもいいです、面白ければ。

BGMはオペラの名曲、エンリコ・カルーソー(*Wikipedia)の歌声が多く流れる。特に彼の「人知れぬ涙」はいつまでも耳に残る。作品の中でもオペラは重要な役割を果たしている。実際、振幅が大きくて何でもありの展開はまさにオペラ的。
野心・愛・背信・不倫・殺人、行き着く先にあった結末!この結末は「え!」とも「へ!?」ともなんとも複雑な気分にさせられてしまうのだけれど、何故か後味は悪くない。これはそう思わせるように巧妙に仕掛けたウディ・アレンの罠にいつの間にかはまってしまった結果だろうか。
そんなことを観終わって思ったりしたのだが、とにかく目の離せない緊張感が続く。クリスとノラの周りの人物は終始一貫して変わらないのに対し、二人がどんどん変わっていくのが対照的で面白い。男はエゴ丸出し、女は妖艶で肉感的、息を呑むほど官能的、そして一転二人の関係を守るために髪振り乱す。ノラを演じるスカーレット・ヨハンソンの迫力に思わずたじたじでした。
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マダムと奇人と殺人と

2005-11-29 00:26:46 | 映画 ま行
               *公式サイトこちら

2004年/フランス・ベルギー・ルクセンブルク/97分

監督・原作・脚本:ナディーヌ・モンフィス
出演:ミシェル・ブラン/ディディエ・ブルドン/ジョジアーヌ・バラスコ/ほか
原作:「レオン警視」シリーズの中の「MADAME EDOUARD」(マダム・エドワール)

~ベルギーから届いた絵画を巡るキッチュでユーモア溢れるサスペンス~

うわあっというくらい色が溢れるこの映画、それもくっきりした色の洪水!そして、登場する人物がこれでもか、というくらい奇人しか出てこないのだ。段々、奇人って普通じゃんと思えるくらいになってくる。犬までぶつぶつフランス語しゃべってるし・・・。

「サスペンス」とはいうものの、その要素は薄い。(犯人が最後に唐突に出現してきた感否めず)それよりも、人に対する温かい感情が作品を支配している。大笑いはしないけれど、思わずにや~りorくすっとしてしまう不思議なユーモアに溢れて自然に気持ちが和む。またさりげなく、ゲイのイルマが娘と初めて会おうとする時に「ありのままの姿で会う!男を装う事は今までの自分を否定しすることになるから!」と語る言葉に人生に対しての前向きな勇気を感じたりする。ただ、もうちょっと一人一人の人物について掘り下げて描いて欲しかったかも。

思い切って隙間時間で見たのだが明るい気分になりました

そういえばコピーの「キッチュ」が今一つ分かってなかったのだが、Wikipediaの解説を見て納得した。 *Wikipediaキッチュ
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モーターサイクル・ダイアリーズ

2005-08-11 00:05:52 | 映画 ま行
バッド・エデュケーション(以前の記事はこちら)から気になっているガエル・ガルシア・ベルナルの主演ということでモーターサイクル・ダイアリーズを見た。(DVD)

監督 : ウォルター・サレス
製作総指揮 : ロバート・レッドフォード
脚本 : ホセ・リベーラ
原作:エルネスト・チェ・ゲバラ「モーターサイクル南米旅行日記」

2004年/製作国:イギリス=アメリカ合作/127分
モーターサイクル・ダイアリーズ

1952年、喘息持ちの23歳の医学生エルネスト(ガエル・ガルシア・ベルナル)は、7歳年上の陽気な生化学者である友人アルベルト(ロドリゴ・デ・ラ・セルナ)と南米大陸を故郷のブエノスアイレスからバイク旅行に出発する。雪のアンデス山脈を超え、世界遺産のマチュ・ピチュを通り、アマゾンを超えチリの海岸線沿いに南米大陸の北端を目指す1万キロ超の旅路をたどるロードムービーである。
エルネストはのちに人々から親しみを込めて「チェ」と呼ばれる若き日のキューバ革命の指導者エルネスト・チェ・ゲバラであり、アルベルトは彼の盟友アルベルト・グラナードである。
この映画でアルベルトを演じているロドリゴ・デ・ラ・セルナは、全くの偶然だったそうだがゲバラの実のはとこである。

中古のおんぼろバイクは故障続きで、途中から「モーターサイクル・ダイアリーズ」ではなく「ウォーキング・ダイアリーズ」(笑)になる。今まで自分が勝手に描いていた南米と全く違う人々、景色が展開され私はかなりショックを受ける。陽気な南米の人々なんて単純なイメージを恥ずかしく思う。
喘息の発作に苦しみながらも、旅で出会う人々と心の奥底から深く関わり共感するエルネストとその友アルベルトが、この旅によってその後の人生が決定されたのだということが見ていて自然に納得させられた。
この映画、音楽もよかった!しゃしゃりでず、でも存在感はしっかりある。

ガエルは「バッド~」と全く印象が違っていて、やっぱり凄い役者だと思った。
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息子のまなざし

2005-04-21 00:08:44 | 映画 ま行
「息子のまなざし」2002年、ベルギー=フランス
監督・脚本:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ

オリヴィエ(オリヴィエ・グルメ)は職業訓練所で大工仕事を教えている。ある日、その訓練所にフランシス(モルガン・マリンヌ)という少年が入所してくる。フランシスの身上書を読んで激しく動揺するオリヴィエ。
一度はフランシスが希望する大工のクラスを手一杯だからと断るオリヴィエだが、何故か彼は人に気づかれぬよう、フランシスの後を追う。少年院を出ても母親の元に行く事もできず、その上、父親の顔はみたこともないという環境に育ったフランシスは、大工のクラスに入りオリヴィエを慕う。オリヴィエとフランシスとの関係は・・・。

一切、音楽がない映画である。まるでドキュメンタリー・フィルムのような映像で淡々とオリヴィエの日常が綴られてゆく。台詞も少ない。でも、激しい葛藤が伝わり、見ている側も不安になる。
普通に生きる人間が、聖者でもなく、ごくごく普通のどこにでもいる人間が、最も憎い相手さえも受け入れられるのかというテーマが重い。ラスト・シーンが妙に声高にそのテーマを謳わない分逆に心に強く訴えかけてきた。
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マイ ライフ アズ ア ドッグ

2005-02-20 20:31:16 | 映画 ま行
「すごくよかった!」と聞いたのがもう15年程も前だったと思う。でも題名は覚えていた。最近、NHKのBS-2で放映されたが見損ねた上に、録画も取り損ねたんだが・・・今月になってTSUTAYAで見つけた。

1985年のスウェーデン映画。
夜空を仰ぎながら「でも宇宙船に乗せられたライカ犬に比べたら僕なんかマシだ」と言うイングマル少年のけなげさに打たれる。夜空と幼い少年と・・・、そして彼を巡るサガをはじめとする友達、大人たち。
大人になると人は大抵、自分が幼い子どもだった頃のことを忘れてしまう、とはよく言われることだ。ちっちゃな子ども一人ひとりが、気高い魂を持って喜んだり苦しんだり、戦っている。それは子どもも大人も生きていくにあたっては同じだという当たり前な事に改めて気付かされる。
余談だが、出てくる風景が「やかまし村~」でみたのとそっくりだと思ったのだが、当たり前だった。どちらもスウェーデンが舞台だった。
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