老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

気を緩ませたのは誰か?

2020-06-08 10:56:04 | 災害
日本におけるCOVID-19の感染状況をまともに把握しようとしないまま、先月25日の夜に緊急事態宣言が全面解除されてしまった。

東京都を中心に、緊急事態宣言の解除後に感染者が再び増加している(それでも検査数を抑制して見かけ上の数字を少なくしているように見える)ことからも、予定していた5月31日より一日も早く解除することにこだわり、前のめりになっていたのではないかという懸念を抱いてしまう。

この二週間で私が目にした街の様子は、「少しずつ」日常を取り戻すというよりは、日常生活で様々なことを制限されてきた鬱憤を晴らすかのように一気に人が戻ってきたというべきである。

「自粛」という名のもとで感染拡大防止の責務を一方的に押し付けられた市民たちが、その「自粛」を「解除」されたのであれば、今までできなかったことを一気に再開したくなるのは当然のことだ。

こうした市民たちの必然的行動を、自らの地位と特権を脅かされないことばかり考え、日常が一転するような現実を直視しようともしない一部の特権的な人たちが「気の緩み」などと上から目線で講評するのは明らかにおかしい。

商業施設や公共施設の再開はあくまで段階的に行うことを示そうが、漠然としたイメージしか想起させない「新しい生活様式」なるものを提示しようが、最初に「解除」という言葉を出してしまったら、それ以降の内容には聞く耳を持たなくなるだろう。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のヒトへの感染が国内で確認されて以降、この国のトップは常に「なかったこと」にしようとしてきた。今回の緊急事態宣言も、解除した後に引き続き感染者が一定水準で確認されるようであれば、国民の気の緩みを原因にするつもりなのは明白だ。

だが、ここで問いたい。誰が国民の気を緩ませたのか。

記者会見などの場で繰り返される、法的な拘束力を持たない「お願い」であり、応じるかどうかはあくまでも個人の判断というレベルの言辞に対し、この国で生きる市民一人ひとりは従順すぎるほどに従っていた。

市中での感染拡大防止にこれでもかというほどに協力し、医療体制の崩壊を現在もかろうじて食い止めている市民に、これ以上自発的に頑張らせる方法で凌ごうとしても、もはや限界が近い。

そんな中で緊急事態宣言を解除した政府こそが国民の気を緩ませたのである。感染拡大を防げなかった責任は市民が負うべきものではない。

この騒動はもうしばらく続くのだろう。気温と湿度が上がればあんなウイルスは弱るものだと高をくくっていた政府関係者の発言が空しくなるほどに、感染の勢いは止まらない。

私たちの代表者であり組織の責任者である人々に、今以上に無責任な行動と事態の収拾がつかないことを国民のせいにする言動を続けられると困るので、今後も政府の対応を注視していきたい。

「護憲+コラム」より
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