老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

日ロ北方四島返還交渉対策について

2013-07-22 21:57:18 | 安全・外交
20日の朝日新聞朝刊(13面)に、かつて北方領土交渉に携わった日ロの元外交官、東郷和彦氏とアレクサンドル・パノフ氏が今後の北方四島問題解決に向けた提言を共同で発表したと報じられていた。その全文は新聞には掲載されていないが、新聞での要約は概略次の通りである。

先ず4月の日露首脳会談で平和交渉再開の機運が生まれたことを前提にして
・今後の交渉で早急な成果はもとめないこと。
・両首脳を結ぶ非公式の交渉チャンネルを設け率直な意見交換をすること。
を提言。

二島返還のロシアと四島返還を求める日本の立場が乖離しているため一挙解決は困難との見方に立って、具体的には
1.歯舞・色丹二島を日本に引き渡す時期と条件について交渉する。
2.それと平行して、国後・択捉に特別な法的地位を与え、両国が経済活動をすることができる特別地域とすることを目指し、日露どちらのものにするかは将来の交渉に委ねる。
という内容で、98年の小渕・エリツィン会談内容を前提にしていると解説している。

上記の要旨を観る限り、既に言い古された内容で、新味もなく、これまで解決のチャンス(ソビエト崩壊時)があったのに、それを生かせなかった反省はなく、しかもロシアペースの提言にみえる。

私があえてこの問題に言及するのは、2011年(菅内閣時代)に、メドベージェフ大統領が国後島を訪問した際に、「メドベージェフ大統領が続く限り、北方4島は直ぐには返還されないことが明らかになった。よって次期大統領選ではメドベージェフ現大統領が再選されないことを願うしかない。一方でプーチン首相も再度大統領への復帰を望んでいるとも言われている、プーチン氏は柔道の愛好家であり、現大統領よりは知日家ではないかと思われる。今後はメドベージェフ現大統領には距離を置き、プーチン首相に積極的にアプローチし、日本はプーチン大統領再選を望んでいる姿勢を鮮明にして行くべきである」との主旨を述べ、事実プーチン氏が大統領に復帰したからである。

そして今年安倍首相訪ロに先立ち森元首相との個別会談で、大統領に復帰したプーチン氏は柔道用語の「始め」という日本語を使って、北方四島問題交渉を再開する意思を示したことは記憶に新しい。このことからもメドベージェフ元大統領との違いは明らかである。

ところで元外務官僚の提言について二点指摘しておきたい。一つは、「早急な成果を求めない」とのことであるが、いつを目処にするのか不明確すぎる。これではプーチン大統領の後にかつて国後島を訪問したメドベージェフ首相が再度大統領に選出されたら元の木阿弥に成りかねない。せめてプーチン大統領の在任期間中を期限とすべきである。

二つ目は国後・択捉に特別な法的地位を与え、両国が経済活動をすることができる特別地域とするとの提言であるが、両島の経済基盤が安定すれば、島民の二島返還反対はますます強くなり、ロシア政府も住民の意見を今以上に無視できなくなるはずで、結果、四島返還はますます遠のく可能性がある。特にメドベージェフ大統領が再選されればその可能性は大であろう。

それでは日本として北方四島返還交渉をプーチン政権とどのように進めるかである。それには先ず、巷間言われているとおり、米国でシェールガス革命が起こり、回りまわってロシアの天然ガスや石油がEU諸国に売れなくなり、その結果ロシアは外貨が不足し国内開発が滞り、日本への天然ガスや石油の輸出と日本企業のロシアへの進出を期待せざる得なくなっている時代背景を、日本の政官業がしっかり認識し、その上に立って三者ががっちりスクラムを組んで、「北方四島返還交渉(国益交渉)」に臨むことである。まさにソビエト崩壊以来のチャンス到来である。

政とは安倍内閣であり、官とは外務省と通産省、業とは経済界のことである。特に通産省の役割は重要で、経済界が抜け駆けをして独自にロシア政府と経済協力交渉をしないようにすることが肝要である。いわゆる企業利益より北方四島返還の国益優先の徹底である。

そして四島返還の条件としては期を決めて二島ずつの返還でもよい。また四島の200海里内での漁業権は向こう50年間はロシアと共有もよし。その上でロシアの天然ガスと石油の輸入に応じ、民間企業の極東ロシアへの進出を促進し、その進出条件としては国後・択捉島のロシア人を優先的に採用し、その住居は日本政府がマンションを建設して無償提供をしてはどうか。そうなれば、その準備と国後・択捉の返還時期を同期させることも可能であろう。それでも国後・択捉に残りたい既存のロシア人には永住権を与えることも考慮すべきであろう。これ等をプーチン政権に提示して交渉してはどうであろうか。

当案は現在のロシア経済のアキレス腱解決のため、天然ガスや石油を輸入し、極東ロシア経済の活性化にも協力し、国後択捉のロシア住民にはそこに住み続けるより極東ロシアに移住した方が雇用と住宅が提供されより裕福に暮らせることを提示し、結果離島を促し、四島を返還しやすいように提示することでもある。これが私の素人提言であるが、上記元外交官の提言とどちらが具体的か比較してもらいたいものである。

因みに元外交官の天木直人氏は、同じく元外交官の東郷氏の提言について自身のブログで「ロシア紙に北方領土問題の解決案を提言した東郷氏を排す」というタイトルで東郷氏の行動を批判している。
http://www.amakiblog.com/archives/2013/07/19/#002650

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
厚顔の美少年

コメント (1)
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