老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

不当な強制起訴と国民の知る権利

2012-03-18 15:04:34 | 民主主義・人権
小沢氏強制起訴に関し、東京地検特捜部の検察官が虚偽の捜査報告書を検察審査会に提出しており、これは検察審査会法第35条の文言「審査に必要な資料」に照らせば、検察審査会法第35条に違反し、かつ憲法31条(「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」)違反ではないかということは、前にも投稿した。事実小沢被告人は民主党員資格を停止され、政治生命と自由な政治活動を奪われていることは周知のとおりである。

※第三十五条 検察官は、検察審査会の要求があるときは、審査に必要な資料を提出し、又は会議に出席して意見を述べなければならない。

さらに検察審査会法を逐一精査すれば第16条には次のような規定がある。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO147.html

※第十六条  地方裁判所長又は地方裁判所支部に勤務する裁判官は、前条第一項の検察審査会議の開会前、検察審査員及び補充員に対し、検察審査員及び補充員の権限、義務その他必要な事項を説明し、宣誓をさせなければならない。
 2項、宣誓は、宣誓書によりこれをしなければならない。
 3項、宣誓書には、良心に従い公平誠実にその職務を行うべきことを誓う旨を記載しなければならない。
 4項、地方裁判所長又は地方裁判所支部に勤務する裁判官は、起立して宣誓書を朗読し、検察審査員及び補充員をしてこれに署名押印させなければならない。

即ち16条によれば、検察審査員は「良心に従い公平誠実にその職務を行うべきこと」を宣誓させられ、地方裁判所長に署名押印させられているが、その一方で検察官は虚偽の捜査報告書を検察審査会に提出して、裁判所長に宣誓・署名押印させられた検察審査員を欺いているのである。このような検察官の虚偽行為は検察審査会法第16条の理念に反し、「公平誠実にその職務を行う」と宣誓させた裁判所長と宣誓した検察審査員を冒涜し、神聖な宣誓行為を茶番化するものであり、かつ憲法31条に抵触し、ないがしろにするものである。

さらに35条後段には、「検察官は会議に出席して意見を述べなければならない。」と規定されていることから、検察官は虚偽の捜査報告書に知らんぷりをして、検察審査員や審査員を補助している弁護士に意見をのべ、審査員の質疑に応答していたのではないかと思われる。まさに茶番劇であるが、その過程で検察官は捜査報告書の虚偽部分をどのように説明し、質疑応答し、最終的にどのようにして起訴相当の議決がなされたのか、国民はその内容の一部終始を一番知りたいところである。

検察審査会法28条は下記のとおり会議録作成を義務付けている。

※第二十八条  検察審査会議の議事については、会議録を作らなければならない。
 2項、 会議録は、検察審査会事務官が、これを作る。

当初検察審査会の検察事務官は議事録は公開できないとしている旨報道されていたが、この時は虚偽の捜査報告が発覚する前であった。検察官から虚偽の捜査報告書が審査会に提出されていたことが明らかになった現在、その言い分は不公正で社会に通用しない。国民にはその議事録内容を知る権利があり、公開されるべきである。

さらに以下に抽出した検察審査会法を読めば、検察審査会の検察事務官は最高裁から任命された地方裁判所の職員であり、その中から1名の事務局長が選ばれることが規定されている(20条本文、2,3項)。彼らは国民から選ばれた検察審査員が一般的に法律や司法行政事務に疎いことを想定すれば、審査会内で否応なく重要な任務を担わざるを得ないことが窺える。

先ず既述の28条2項には検察審査会議の議事について、「会議録は、検察審査会事務官が、これを作る。」と規定されている。次に検察審査会法第15条本文は、「検察審査会長は審査員の中から互選で選ばれる」と規定し、15条2項には「検察審査会長は、検察審査会議の議長となり、検察審査会の事務を掌理し、検察審査会事務官を指揮監督する」と規定されているが、一般的に司法行政事務に疎い検察審査員(国民)のなかから選ばれた検察審査会長が15条2項に規定されているようなことができるか疑わしい。

さらに20条4項でも、「検察審査会事務局長及びその他の検察審査会事務官は、検察審査会長の指揮監督を受けて、検察審査会の事務を掌る。」と規定されているが、ここでも司法行政事務に疎い検察審査会長が司法行政に長けた検察審査会事務官を指揮監督できるとは思われない。よって最初から実質的に検察審査会の運営と議事進行の事務を掌るのは検察審査員の互選で選ばれた審査会長ではなく、最高裁が選任した検察事務官であり事務局長になることは当然の流れであろう。

逆に法律に詳しい職業の人や専門家は第6条で審査員に就けない規定と制限があり、そうならざるを得ないのは検察審査会の必然であり欠陥でもあろう。何れにしろそのような状態の検察審査会へ検察官から虚偽の捜査報告書が提出されていたということは、結果的に最高裁が選任した検察審査会事務局長や検察審査会事務官をも欺いていたということになり重大である。

※第十五条  前条に規定する各群の検察審査員及び補充員のいずれかの任期が開始したときは、その都度速やかに検察審査会議を開き、検察審査会長を互選しなければならない。この場合において、検察審査会長が互選されるまでは、検察審査会事務局長が検察審査会長の職務を行う。
 2項、検察審査会長は、検察審査会議の議長となり、検察審査会の事務を掌理し、検察審査会事務官を指揮監督する。

※第三章 検察審査会事務局及び検察審査会事務官
 ※第十九条  各検察審査会に事務局を置く。
 ※第二十条  各検察審査会に最高裁判所が定める員数の検察審査会事務官を置く。
 2項、検察審査会事務官は、裁判所事務官の中から、最高裁判所が、これを命じ、検察審査会事務官の勤務する検察審査会は、最高裁判所の定めるところにより各地方裁判所がこれを定める。
 3項、最高裁判所は、各検察審査会の検察審査会事務官のうち一人に各検察審査会事務局長を命ずる。
 4項、検察審査会事務局長及びその他の検察審査会事務官は、検察審査会長の指揮監督を受けて、検察審査会の事務を掌る。

最後に検察官役の指定弁護士が論告した「起訴議決の有効性」(3/10朝日新聞)のなかの、「検察官が信用性の低い証拠で起訴しても起訴が無効とはされない」との主張は的はずれでおかしい。今回は検察官が直接起訴(当初検察は不起訴である)したのではなく、強制起訴するか否かを決める審査員を虚偽の捜査報告書で欺いたのである。また「信用性の低い証拠」ではなく、故意に虚偽の捜査報告書を提出して検察審査会の構成員である検察審査員、補助弁護士、最高裁が選任した検察審査会事務局長と検察審査会事務官を欺き、起訴相当へ誘導しようとしたことは明らかであり、検察審査会の在り方の根幹を揺るがす問題でもある。

よって検察官役の指定弁護士も虚偽の捜査報告書が明らかになった現在、会議録を精査し、虚偽の捜査報告書によって審査員が起訴相当の議決へ誘導された形跡はないか検証することは強制起訴より優先事項で、それは国民の検察審査会への信頼を回復できるか否かでもある。一部週刊誌では検察官と検察審査会事務官は裏で通じているとも報じられている。仮にこのままであれば、国民の検察審査会への不信は募るばかりで、全ての関係者は李下に冠を正さずの姿勢が重要である。

「護憲+BBS」「裁判・司法行政ウォッチング」より
厚顔の美少年
コメント
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