老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

クリントン国務長官の来日の意義と期待(対話)

2009-02-15 08:00:08 | 安全・外交
世界の紛争を話し合いで解決し、世界平和を目指そうとする、オバマ政権の外交が動き始めた。その手始めは国務省に新設された二人の特使のうちミッチェル特使のイスラエル、パレスチナをはじめとする中東・ヨーロッパ訪問であり、続いてもう一人のホルブルック特使のアフガニスタン・パキスタン・インド等への訪問であろう。二人の特使の訪問先を見ると紛争の当事国のみでなく関係国を広範に訪問しており、対症療法ではなく根本的な和平を目指していることが窺える。

続いて2月中旬にクリントン新国務長官が日・韓・中を訪問することが正式に決定された。おそらく北東アジアの問題はクリントン国務長官自らが担当する意思なのであろう。また平和外交を目指すオバマ大統領・クリントン国務長官にとって北東アジアでの平和樹立ほどやりがいのある外交問題はないであろう。金とダイヤモンドの鉱山が戦後60年間未開拓で放置されているようなものである。

また大物国務長官が就任後初めての外遊先に日本を選定したのも、それだけ北東アジアの諸問題を重要視している証拠であろう。そして外交辞令的には日本より中国を重視しているとの噂の払拭と、ブッシュ政権が一方的に「北朝鮮のテロ支援国家指定」を解除したことによる日本国民の不信感を、一気に民主党政権に惹きつける狙いがあるのではなかろうか。

一方日本政府はクリントン国務長官の最初の外遊先が日本に決定したことを大喜びしているが、オバマ大統領は就任後矢継ぎ早にイラクからの撤兵やグアンタナモ捕虜収容所の閉鎖、イランとの対話外交、またバイデン副大統領による迎撃ミサイルの東欧への配備見直しによる米・露関係の修復等ブッシュ政権の外交防衛政策をことごとく排除し、一線を画していることを銘記しておくべきである。その意味ではこれまで日本政府が外交防衛の教科書にしてきたブッシュ政権時代のアーミテージレポートのような外交・防衛政策がオバマ・クリントンの平和外交にマッチングするかは疑問である。
http://www.aurora.dti.ne.jp/~barusan/amitejirepoto.html

この際オバマ・クリントンの対日外交には憲法改正を促し、北東アジアに緊張をもたらしてきたアーミテージレポートとは決別し、逆に憲法9条を遵守させるような外交を期待したい。その方が北朝鮮の核や拉致の早期解決、北東アジアの戦後諸問題(北方領土や国交回復)の解決、相互の平和条約締結の早道となり、ひいては中東和平を導く「てこ」にもなるはずである。その意味では憲法9条はオバマ・クリントンの世界平和外交のシンボルともなり、ブッシュ政権で地に落ちた米国の威信とリーダシップを回復する「てこ」にもなるはずである。9条の精神を忘れることなかれ、終戦後GHQの下で米民主党政権が日本に掲げた旗である。

「護憲+BBS」「各国の動きに注目する」より
厚顔の美少年
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厚顔の美少年さんの「期待」に関連して。

オバマ政権、あるいはクリントン国務長官が提唱する安全・外交政策は、「スマートパワー」と呼ばれ、これまでの軍事偏重からの脱却を目指すことが期待されていますが、「憲法9条を遵守させる」方向性に添った外交政策をアメリカ側から提示するというのは、現実問題として望み薄(期待しすぎ)ではないか、と見ています。

厚顔の美少年さんご指摘の「アーミテージ報告書」は、アーミテージ氏とジョセフ・ナイ博士が主導した日米関係に関する研究会の成果として生まれたもので、「アーミテージ・ナイ報告書」とも呼ばれています。そして、そのナイ博士は、今回オバマ大統領によって駐日大使に任命されました。

「アーミテージ・ナイ報告書」の骨子は、以下のようなものだと理解していますが、今回の人事から言って、オバマ政権下でも対日政策の大筋に変化はないという気がします。

(1)アジア地域の安全保障のために、日本が主導的な役割を果たすことを期待。
(2)日本政府が、憲法の縛りの下、可能な最大限の努力していることを評価。
(3)改憲の動きを歓迎。
(4)しかし、それ(護憲・改憲)は外圧(アメリカの圧力)によってではなく、日本自身が選択することだ。

アメリカの変化が日本の外交・防衛政策に好影響を与えることを期待したいですが、日本国憲法に則った日米関係の再構築は、本来日本政府の決断によってしか始まらないし、そのためには「日本国民による選択・意思表示」が不可欠だということではないでしょうか。

参照:
http://mainichi.jp/select/world/news/20090114ddm007030188000c.html
http://www.asahi.com/international/update/0108/TKY200901080126.html
http://japan.usembassy.gov/j/p/tpj-j20040202-54.html
http://www.kyodo-center.jp/ugoki/kiji/070216armitage.htm

「護憲+BBS」「各国の動きに注目する」より
笹井明子
コメント
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