老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

予想通りの最高裁判決(住基ネット裁判)

2008-07-10 06:38:39 | 民主主義・人権
杉並区の住基ネット裁判は、一見区民が杉並区を住基ネットの個人情報の安全性の問題で提訴したのかと錯覚しそうであるが、実は杉並区がその問題で国と東京都を提訴した行政間での珍しい裁判である。杉並区は、現行の住基ネットでは個人情報が完全に保護されないとの理由から、希望する住民だけが住基ネットに接続する「選択制」を認めないのは違法だとして、国と都に損害賠償などを求め提訴しているのである。

裁判の経過は『一審の東京地裁は「一部住民の参加となると、行政事務の効率化を図ろうとした法の趣旨が失われる」、二審・東京高裁は「情報を区から都に送信するかどうかを決める裁量は区長にはない」などと述べ、いずれも「選択制」は違法と判断され、杉並区は上告したが最高裁第三小法廷(田原睦夫裁判長)は8日、杉並区の上告を退ける決定をし、杉並区の敗訴が確定した。』とアサヒコムは報じている。
http://www.asahi.com/national/update/0708/TKY200807080335.html

上記報道の一審、二審の判決要旨を見る限り、 「現行の住基ネットは個人情報が保護され、安全か」と言う核心部分には触れず、杉並区の住基ネットの運用方法、行政の在り方に対する判決のような気がする。それも最初から国や東京都の行政の在り方が「正しい」という前提に立った判決のように思われて成らない。その上最高裁迄が東京高裁の判決を支持し上告を棄却するようでは、逆に国民には住基ネットへの不安が募ってくる。

住基ネット裁判は全国13カ所の裁判所で起こされているようであるが、例えば大阪高裁では国が敗訴(但し最高裁では勝訴)し、その判決を下した裁判官は後日自殺したことは記憶に新しい。このように、住基ネットは、住民のみならず行政側(杉並区や国立市)や裁判官にも今ひとつ信頼されていないようである。そうである以上、最高裁は個人情報の保護の問題について住基ネットは果たして適切安全なものか、住基ネット訴訟の本質について判断を下して欲しいものである。

今回の最高裁判決は個人情報の在り方や安全性に対する判断を回避したために、かえって国民に不安を高めたのではないだろうか。これでは益々住基ネットの利用を国民は敬遠し広まらないであろう。何れにしろ一審・二審・三審とも国民の不安を無視した典型的な行政よりの判決だと思う。ところでこの判決に関わった裁判官は住基ネットを安心して利用されているのあろうか、お尋ねして見たいものである。

☆住基ネット裁判関連情報を参考までに紹介します。

http://www2.city.suginami.tokyo.jp/library/library.asp?genre=47
http://www005.upp.so-net.ne.jp/jukisosho/
http://www.age.fm/~t-muto/html/2-1-6_jyukinet.htm

「護憲+BBS」「裁判・司法行政ウォッチング」より
厚顔の美少年
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